閉じる

団塊の世代の高齢化と社会保障制度

第二次世界大戦の終戦直後の昭和22年~24年、第1次ベビーブームが到来した。全国で約270万人が出生し、その世代が今定年退職し、65歳の年金満額受給期を迎える。日本の人口の実に約4分の1が年金保険料を払う側から受け取る側に回る。もう5年もすれば70歳に到達し、健康保険の窓口1割負担ですむ高齢者保険の適用対象となる。

このことは何を意味するか?現役を退いたことで、年金保険料は納めなくてよくなり、また所得が減ることにより、所得をベースにしている健康保険料は現役の時より納める額ははるかに少なくなる。
団塊世代の高齢化は、各種保険制度の収入の自然減をもたらし、逆に保険給付は自然増となる。年金は総給付額増となることは自明であり、また医療保険も年を重ねることにより誰しも医者にかかる機会が増えてくることにより給付額も増える。生活習慣病などでたとえば血圧の薬を服用せざるを得なくなるとか、高齢化は医療の需要を飛躍的に増大させる。また、介護サービスを受ける人口も飛躍的に増えることは想像に難くない。

今、社会保障制度の負担と給付のバランスを見直さなければ、制度が崩壊する危機にさらされている。また、現在の国家財政を見れば、90兆円を超える予算のうち、税収は40兆円程度で、後は国債で賄うしかない状況、社会保障費にこれ以上の予算を割けない状況である。

どうすれば、制度崩壊の危機を乗り越えられるのか。まさに国家的、国民的課題である。正面から向き合わなければいけない時期に来ている。収入が見込めないのであれば、支出を抑えるしかない。例えば、医療費の窓口負担を1割負担をやめて、2割、3割にしていくのか。また、年金支給額も削減していくのか。
こうした熟慮を重ねたうえで、制度の安定化を図るためには、税負担によるしかないというのが今の結論である。しかもきめ細かい景気への配慮、低所得者への配慮をしながら。国債を乱発して後世につけを回して知らん顔、こういう先送りの政治はもはやもたない。
消費税引き上げに反対する勢力からは、社会保障制度の安定化のビジョンが何も示されていない。受けを狙って増税反対をいっているとしか思えない。将来の国民生活をどう安定させるかをきちんと政策として示すべきである。でなければ政治不信はますます深まるだけである。国民はしっかりとみている。