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地域再生 滋賀の挑戦 から

最近読んだ本に「地域再生 滋賀の挑戦」がある。滋賀県立大学大学院の副専攻プログラムとして設けられている「近江環人地域再生学座」による編著である。社会構造の変化や経済の減速などにより地方都市のみならず最小単位である「地域」の衰退が今、日本を覆う大きな問題となっている。

この「地域」をいかに甦らせるか。全国で様々な取り組みがなされているが、本書は滋賀県内での取り組みをそれぞれのキーパーソンの報告という形式をとっている。その基本に流れる思想は、地域再生、地域づくりに取り組もうとする際の確かな指針となるものである。

「風の人・土の人」という考え方を引用し、まちづくりの担い手としてなにより大事なのが「土の人」すなわち、自らの地域にしっかりと根を張り、継続的に地域づくりに取り組む人材である、とする。ただし、「土の人」だけでは視野や活動が狭くなり、閉鎖的な取り組みに終わる危険性がある。そこで「風の人」すなわち、その土地に風のようにやってきて、新たな知識や知恵、技をもたらして「土の人」を覚醒させ、元気づける人材が必要となる。この「風の人・土の人」がうまく融合するところに「地域再生」の突破口が開けるという。

これは、「自分たちの地域は自分たちでつくっていく」という考え方と軌を一にしている。私がこれまで訴えてきた、そこに住んでいる人が自分の地域の課題解決にまず当たる、という「当事者意識」に目覚めることの重要性を見事に表現している。そして「風の人」は地域づくりのコーディネーターとして、「担い手」である「土の人」にエンパワーしていく、という外発的な力への依存を排した内発的な取り組みを促すことが成功のカギを握る、と今後の地域再生への見事な指針となっている。

地域再生がなかなか進まないことを、例えば行政からの補助がないとか、行政の基盤整備、環境整備が立ち遅れているから、といったことに求めがちである。しかし、そこには中毒に近い「行政依存症」があり、自然、地域衰退に対する「傍観者」に陥る危険性をはらんでいる。

地域の課題解決に地域自らがあたる。一緒に汗をかくことにより連帯感が生まれる。地域に対する愛着心、誇りというものも芽生えてくる。今地域再生のカギを握るのは、こうした、「当事者意識」をもった主体的な「土の人」が担い手として登場するか否かである。

これは、大きな「挑戦」である。がしかし、ここに甲府が元気になれるかどうかのヒントが隠されているように思えてならない。

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