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平成スタートから4半世紀

平成25年が開幕した。昭和天皇が崩御して「平成」がスタートして4半世紀となるこの時に、1冊の書物を雑誌の書評から紹介され読んだ。拓殖大学地方自治センター長の竹下譲先生がついつい時間を忘れて、夢中になって読み通したという「戦後史の正体1945-2012」(孫崎享著 創元社)である。竹内先生は、地方議会改革に関する著書を発刊しており、その先生が夢中になったということに興味をひかれたものである。

著者の孫崎氏は元外務官僚で駐イラン大使などを歴任、2009年まで防衛大学校教授に就いている。敗戦から現在までの日本政治をアメリカとの関係性のうえから論じており、賛否いずれもあるものの、様々な難しい局面にあって、どこまでも国民のために日本の国益を主張していくことの重要性、とともに困難性を考えさせる書である。

国の滅亡の危機に立たされた敗戦から出発し、大国の思惑にとかく翻弄されがちな我が国の政治状況を外務官僚として国際政治の裏舞台もおそらく見てきたであろう氏の視点から解き明かしていく内容は、確かについ時間を忘れて読みふけるということも納得させられる。

特に日本のように資源小国は、国際関係を正しく見極めて行動していかなければ、国益を大きく損なう危険がある。どの国も自国の経済発展を念頭に関係を築いていくことに腐心し、これはとりもなおさず、市場の海外への拡大を希求することから、国対国の摩擦を引き起こすことは歴史が物語っている。

正確な情報を集め、いくつかの選択肢を想定し、それぞれのメリット、デメリットを的確に分析したうえで、大胆かつ細心の注意をはらって国際舞台で国の主張を展開していく。そのためには、政治家だけでなく、官僚、国民が「日本のため」という意識を共有できるか否かが大事である。民主主義国家ゆえ、国を代表しての決定は国民の意思に裏打ちされており、このことは外交のうえで当たり前のことだが、もっとも重要な事柄である。

新政権が発足し、外交面においてもどん底の状態にある我が国をどのような方向に向かわせるのか。この書で得た視点からは実に興味深いものがある。