27日の地元山梨日日新聞の記事によれば、富士川町議会が、議員定数削減条例案を否決したという。同町は旧増穂町と旧鰍沢町が平成22年3月に合併したもので、議員定数は、合併協議時の24名から8減の16名でスタートしている
今回、2減の14名にする条例案を議員提案で提出したものであるが、その理由として、①定数減により議員の資質が向上する、②時代の趨勢である、③財政環境が厳しいなか自ら身を切るべきだ、という点を挙げている。
これに対して、定数削減により議員の資質が向上するとは必ずしもいえない、定数削減により議会機能が低下し、市民の意見を吸い上げきれない結果を招く、として削減に反対する意見もあり、採決の結果、賛成少数で削減条例案は否決されたそうである。
この結果は極めて興味深い。議会改革の流れは確かに全国的な趨勢といえるが、「改革」の中身をしっかり考えて必要な改革を行っている議会と、議会審議の強化などをさておいて、改革=定数や報酬の削減と安易にとらえ、これに終始している議会と、大別して2つに分類される。
以前このブログでも記したが、地方は、国と異なり「議院内閣制」ではなく、「2元代表制」である。首長と議会がそれぞれ選挙で選ばれ、それぞれが民意を背負っている。特に議会は、きめ細かな民意を反映できるよう、議員数が決められている。圧倒的にノウハウを持つ職員が多数おり、専門的な分業体制が確立している行政当局に対してチェック機能を適切に果たすためには、議員数が減ることは、致命的である。
議員数が減ることは、それだけ民意をくみ上げるチャンネルが減り、きめ細かな民意反映が低下する。また、圧倒的な行政当局に対して議員数が減った分だけチェック機能、抑制機能が低下することは否めない。
議会が真に住民の負託に応えるためには、議会機能の強化をまず考えるべきであり、例えば、行政対議員個人という現在の質疑形式を改め、議会内部の徹底した討議、いいかえれば議員間討議を採用する、また議会と住民との対話集会の制度を設けるなど、議会が住民のためにどういうことをしているのかを発信できるシステムを構築し、住民の理解を得る努力をすることが先決である。
こうした改革の努力を置き去りにして、定数削減や報酬削減の議論に終始しているうちは、結局住民のための議会機能を低下させ、住民の声が届きにくくなるという事態を招く。正しく本質を見抜くことが必要である。自治体の財政に占める「議会費」すなわち議会にかかるコストは1%に満たない。定数削減や報酬削減が「ムダの削減」につながるというのは、幻想であり、暴論である。
こうした幻想に惑わされて、結果として住民の声が届きにくくなったとしたら、住民にとって不幸である。問題は、日々の研鑽による議員資質の向上と、議会が「徹底した話し合いの場」としての期待される機能を存分に発揮できるシステムへの変更がまさに求められているということだ。このことを見抜いていかなければならない。