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医療費の窓口無料化~地方分権の潮流からみた課題~

県は、昨年、重度心身障害者の医療費窓口無料化を廃止し、自動還付方式に改める方針を打ち出した。

これは、窓口でいったん医療費の自己負担分を支払い、のちに申請手続きなしで県から指定口座に還付金を振り込むという制度である。医療費の無料化という点で差異はないが、課題は残るように思われる。

それは、医療機関で受診する際、支払用の「現金」を持参しなければならないという点であり、重度の障害を抱え、収入もままならない者には大きな負担感がある。いきおい受診をためらい、結果重篤化するといった悲惨な結果を招かないとも限らない。

こうした不都合を解消するため、県では支払用に無償貸付制度を創設し、還付金と相殺することで手続き上の負担を緩和するという。大変苦労されている様子がうかがえる。

窓口無料化は、子どもの医療費についても現在根付いている制度であり、本市でも多くの市民に歓迎されている。

県でこうした制度の見直しにいたった大きな理由は、窓口無料化を行った場合に、国から国庫負担金の減額という「ペナルティ」が多額に上っていることにあるようだ。この「ペナルティ」は、昨年甲府市が65歳以上の高齢者医療費の公費助成制度の廃止に踏み切った理由の一つでもある。自治体経営上、苦渋の選択であり、このこと自体は財政環境が非常に厳しい自治体にとってはやむを得ないものかもしれない。

国が「ペナルティ」を課す理由は、こうした助成制度により医者にかかりやすくなり、結果として医療費が増加するから、国が負担すると助成制度を設けていない自治体との間で公平を欠くというものらしい。いわゆる「コンビニ受診」が横行し、さして医療が必要でない者まで医者にかかり、医療費が増えてしまう、と考えているのだろうか。

しかし、障害を抱え、健康に不安がある方、あるいは子育てにまだ慣れていない新米ママ、加齢により日々不安を抱きながらようやく生活を送っている高齢者など、ちょっとした体調の変化にも敏感であり、医者にかかることで安心するのである。本人が医療を必要とするから医療費も生まれるのである。こうした方々は決して生活が楽ではない。窓口無料化したことにより、あるいは医療費助成制度をつくったことにより、医療費が増えると結論付けるのは性急すぎ、もう少し精査する必要があると感じる。
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こうした支援を必要とする人々が受診しやすい環境をつくるのは本来国の役割であるはず。そうであるならば、自治体が住民の福祉向上のために打ち出した制度を後押しするのが、地方分権ではなかろうか。

制度をつくったり、改めたりするには、住民代表の議会から声を上げることが必要な場合がある。議会が地方自治法で認められている「意見書」制度を使って、国に対して声を上げていかなければならない場面は今後ますます必要になるのではないか。それが地方分権時代の地方議会の役割だと信じる。