昨年の社会保障と税の一体改革に関連して設置された、社会保障制度改革国民会議がいよいよ大詰めを迎える。当初の約束通り8月いっぱいで結論が出る模様だ。
年金と子育て支援については、昨年の一体改革で大筋の方向性が確定しており、残る大きな課題が「医療・介護」の分野である。
団塊世代の福祉の受け手への大量移行が始まり、超高齢化が今後ますます加速し、いずれは少子化という要因が人口減へと向かわせるなかで、社会保障の考え方にも大きな影響を与えることは必至である。
医療面では、増大する医療ニーズに対して、健康保険制度の維持が次第に困難さを増し、一つには、国民健康保険の広域化が論点となり、また、70歳~74歳の医療費の窓口負担の特例の廃止(法定2割負担を予算措置で1割に抑えているもの)が焦点となっているようだ。医療費を抑えるために、疾病予防という考え方も強く要請されてくるだろう。
介護面でも課題は数多い。在宅介護が限界にきている世帯が年々増加する中、施設数の絶対的不足は常に指摘され続けている。介護制度へのニーズが高まり、ますます重要性が増している介護現場だが、職員の労働条件は過酷といわれる。給料が安くて家庭が持てない、子供を産めない、など現場からの悲痛な声が聞こえてくる。
いずれも、保険制度を基本的に維持していくことになると思われるが、負担と給付のバランス、特に世代間の負担のバランスを見直さざるを得なくなっている状況にみえる。「負担の配分」という新たな政治の役割が求められる時期にきているのである。連立政権の力量が試される。
実感できる景気回復はまだ途上にある。そして、もうすぐ来年の消費税引き上げの判断を求められる時期が到来する。こうした中で、景気回復を後押しするための将来への安心感を助長するうえでの社会保障制度の持続可能性の確保も求められている。
難しい時期に差し掛かっているが、将来ビジョンをしっかりと示し、適正な負担と給付のバランスを国民に説明し、理解を求めていくことが何より大事である。
もはや、少ない負担で多くの給付が受けられるという時代は去ったと言わざるを得ない。それほどまでに社会構造は劇的に変化しているのである。目をそむけることは、この国の将来を危うくする。