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総合防災訓練~新田会場~

甲府市の総合防災訓練は、本年度から従来の9月1日防災の日から、各地区訓練の日である8月最終日曜日にあわせて実施されることとなった。その第1回目の訓練が、地元新田地区で実施された。

今回は、地元の自治会連合会長の強い要請もあって、主会場である新田小のほか、当地区の大きな課題である県営貢川団地での訓練も実現した。高齢化が他の地区をはるかに上回っている現状に加え、外国人居住者の増加など、災害を乗り越えるうえで最小限必要な地域コミュニティの弱体化が問題意識として共有されてきた。

24日には避難所運営訓練と避難所体験訓練が指定避難所である新田小体育館で行われ、地域住民のほか、国際交流協会から外国人リーダーも参加し、約120名が新田小体育館で一夜を過ごした。

夏のこの暑い時期での体験訓練のため、当初戸惑いを感じる地域の方も多かったが、実際の避難所の大変さを少しでも感じ取ることができたことは、各家庭でできる災害への備えの必要性を改めて考える機会となった。

避難所体験後の25日は、市の総合防災訓練である。7時55分の緊急地震速報の放送を受け、各人がまず身を守るための「シェイクアウト訓練」が初めて実施された。これは、身をかがめ、頭や体を守り、揺れが収まるのを待つ、という一連の動作である。

8時の避難誘導放送後に、避難地である新田小校庭へ、団地は団地内の指定避難地へと避難が行われ、以後は市の訓練プログラムに従って順次訓練が行われた。

地域が参加する訓練は、被災者の救出や負傷者の搬送、また新田小児童の避難、救出訓練などである。あとは専門機関である、消防、赤十字、自衛隊、電力会社などの訓練が行われ、11時過ぎに終了した。

新田地区の指定避難所としての新田小は実はアクセス道路の狭隘性から、大型車両が進入できないという難点がある。そのため、万が一の際、救援物資が届かないのではないかという不安がある。この解消にために地区ではいろいろな方途を模索している現状がある。幹線道路から比較的アクセス容易な池田公園の防災公園化もその一つである。

初めて市の総合防災訓練の主会場となって、地域の方々はどう感じただろうか。市の総合防災訓練は、地域住民の参加はあるものの、主眼は関係機関の災害時の対応手順を確認するための訓練である。

改めて痛感したのはやはり、災害を乗り越えるための地域の結束力であり、地域コミュニティの機能強化の重要性である。そして、その前提としての「自助」意識の高揚の必要性である。

公的機関は要請があれば直ちに救済にやって来るとは限らない。全市的に被災した場合は、人的にも物的にも限界がある。優先順位をつけて救助に向かうということにならざるを得ないだろう。

特にライフラインはその復旧に時間がかかる。道路等が寸断されれば店舗への商品の搬送も途絶える。救援物資も届かない。こうした事態は想像の世界の出来事ではなく、現実発生する事態である。

だから、最低限生き延びるための「自助」がますます求められる。また、隣近所で被災者の救助に第一義的にあたることが求められる。地域でできることはまず地域で、である。

そのために、なによりもコミュニティの力が必要になる。有事の際にこのコミュニティの力を最大限に引き出すためには、平時からの地域づくりが必要である。誰かが助けてくれるという依存心にどっぷりとつかっていれば、有事の際には右往左往の状態になるだろう。これまで何度も「パラダイムの転換」を訴え、なんとしてもこの依存意識からの脱却を訴えてきた真意はここにある。

訓練は地域にとっての単なる「イベント」ではない。また運営側にとってのルーティンの「事業」ではない。無難にこなすことが目的ではないし、特定の人だけが汗をかくような形態であってはならない。それこそ、本来の趣旨からそれて、訓練が自己目的化してしまう危険性がある。

災害を乗り越えるために、もう一度、一人一人が「当事者」であり、「主体者」であるという意識に立つことが必要だ。シナリオがない中で、次にどういう行動をとるべきか。これを一人一人が考えていく訓練にしていかなければならない。
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