10月12日午後1時から甲府市総合市民会館にて、水道事業100周年下水道事業50周年の記念シンポジウムに招待された。
冒頭絵画コンクールと俳句の優秀作品の表彰式を行ったあと、山梨大学の風間ふたば教授が「荒川上流物語」と題して基調講演を行った。
甲府の水道水は味の良さで定評があるが、その水源の一つが市の中央部を流れる荒川上流である。上水の確保は古くからの課題であり、100年前に荒川を水源とする水道事業がスタートし、以来、昭和の時代に荒川ダムができて安定した水供給が可能となった。
荒川の水源は奥御岳の森林が豊かな水量を涵養し、自然環境がおいしい水を育てている。市が毎年水源林の植林を行っているのは、こうした背景に基づいている。風間教授は沿線のいくつかのポイントで水質の定点観測を行っており、荒川上流部の自然が絶妙に水質管理を行っていることをデータを示してわかりやすく説明していただいた。
特別講演は八ヶ岳南麓に居住する俳優の柳生博氏である。茨城県の霞ケ浦近郊で育った柳生氏は中学生の頃から八ヶ岳と深い縁があったそうだ。家の方針で夏の1か月は家を出て一人で暮らすことを義務付けられ、行った先が小海線沿線の甲斐大泉。
この幼少の頃の原体験から八ヶ岳南麓にアトリエを構えたそうである。荒れ果てた人工林に1万本もの広葉樹などを家族の手を借りて移植し、見事な雑木林に復元、今では年間10万人もの人が憩いを求めて訪れるまでになった。
氏は現在日本野鳥の会の会長を務められている。鳥に対する思いを熱く語っておられた。氏が雑木林の復元に心血を注いだのも、鳥たちがその花や木の実を求めてやって来るようにとの願いからである。
鳥は羽を広げて自由に大空を駆け巡る。鳥の目からは地上に国境なんてない。下には地獄もなく、上には天国もない。宗教の争いもなく所有をめぐる醜い欲望もない。ジョン・レノンの「イマジン」の世界そのものなのだと氏はいう。
朴とつとした語りの中に自然に対する氏の深い思いが脈々と伝わってくる。そこには自分が果たすべき「使命」と明確にとらえ行動する崇高さがある。
我々が置き忘れてきたものをはっと気づかせてくれた気がする。久々に触発されたイベントだった。