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会派行政視察~埼玉県朝霞市~

11月5~6日の日程で、市議会公明党会派視察を行った。今回は、埼玉県朝霞市(TMO事業による空き店舗対策)、群馬県太田市(デマンドバス事業、1%まちづくり事業)を視察研修した。

まず、朝霞市の空き店舗対策(TMO構想推進事業)である。

朝霞市は、東京都心に隣接するベッドタウンとして発展し、人口減へ向かう日本にあっても右肩上りに人口が増加して、現在13万人を超えている「若い」街である。
東武東上線朝霞駅、朝霞台駅、JR武蔵野線北朝霞駅の3駅が市内に位置するとともに、旧米軍朝霞キャンプがあったことで知られている。最近ではこの跡地への公務員宿舎建設を巡って国政上の議論があったことも記憶に新しい。

朝霞駅を中心とする中心市街地は、近年の全国の地方都市に共通する商店主の高齢化や後継者問題等による空き店舗増加の問題が顕在化し、さらにH20の副都心線の乗り入れにより、新宿や渋谷などの都心へのアクセスが飛躍的に向上したことによる「ストロー化」が懸念されてきた。

朝霞市でも他の地方都市同様、H16年3月、「中心市街地活性化基本計画」を策定し、活性化に向けた取り組みを開始した。そして、H18年3月に中心市街地活性化にかかる事業の企画立案や総合的な活性化推進組織を立ち上げるため、朝霞市商工会が「朝霞TMO構想」を策定し、同商工会が「TMO」(タウン・マネージメント・オーガニゼーション)として誕生した。

TMOとは、簡単にいえば活性化事業を企画・立案し、なおかつ実施をコーディネートする「司令塔」組織である。現在、朝霞駅前商店会、朝霞本町商店会、仲町商工振興会の3つの商店会でそれぞれの地域特性に応じた事業が展開されているが、これを「中心市街地活性化」に向けてうまくコントロールし、マネージメントしていく役割を担っている。

空き店舗の解消は、土地の所有者と建物所有者が別個というケースが非常に多いことから困難を極める事業である。朝霞市では「アート」を一つのキーワードとして、市民ギャラリーや若手アーティストの活動の場としての空き店舗利用を打ち出しており、あわせてアートイベント開催などによる賑わいの創出も目指している。

注目したいのは、「休み処」としての空き店舗利用を打ち出している点である。これはおそらく高級な喫茶店というイメージではなく、商店街を訪れた市民が「ほっと一息」つける「茶みせ」的なイメージである。実際甲府の中心街でこういう気軽に一息つける空間があったら、と常々感じていたところだが、朝霞市では早くからこの点に着目している。いわゆる「スローライフ」になくてはならない要素である。

今回紹介していただいた、「ホッと茶屋 あさか」はまさにTMOの目玉というべき取り組みである。朝霞駅前通りの旧てんぷらやを改装し、商工会の出張所も兼ね、なおかつ埼玉県が進めている「地域支え合い事業」の拠点施設として、H22に開設した。

店内にはカウンターと10人くらいが打ち合わせのできるテーブルがあり、軽食も安い値段で提供できるようになっている。人懐っこいマスターと女性の店員がおり、ソフトクリームを注文してしばしお話を伺った。

マスターは北海道出身。仕事の関係で朝霞市に越して今は退職してこの茶屋のマスターとして市民に憩いのひと時を提供しているという。ここにいると店の名のとおり、ホッと一息つける気がするから不思議である。ここには、商店街で不可欠と考えられる「交流」がある。しかも一過性のものではなく「日常生活の一部」としての「交流」である。これこそ商店街再生の重要な「鍵」ではないだろうか

このホッと茶屋「あさか」は、もう一つ重要な「地域支え合い事業」 の拠点としての顔がある。

地域支え合い事業とは、元気な高齢者等をボランティアとして登録し、市内に住むサポートが必要な高齢者等のところへ派遣し、必要なサービスを提供する謝礼として「地域商品券」で支払う仕組みのことである。

これは高齢者の生きがいづくり、健康づくりを兼ねたボランティア活動と、支援を必要とする高齢者等へのサービスの提供、そして、「地域商品券」で謝礼を払うことによる市内商店での購買促進という1石3鳥の効果をねらいとする。我々が甲府市で推進している「介護予防ボランティア制度」と似通った点があるが、朝霞市の場合は、65歳以下のボランティアも認めている点で、「有償ボランティア」という性格が強い。

しかも、対価として「地域商品券」の導入により、地元商店での買い物を強く意識づけることが可能だ。加盟店は450店舗と聞いて、その多さに驚いたところである。TMOのマネージメント力だと改めて感服した。

地域支え合い事業は、ボランティアと支援を必要とする高齢者等との交流、そしてホッと茶屋での交流、さらには加盟店での交流、すべてがこの「交流」という二文字に収れんされており、「あたたかさ」を感じる取り組みである。

駅前通りは平日昼間のわりに人通りは多く、しかしながらこうした拠点があるせいか落ち着いた時が流れているような感覚にとらわれる。ありのままの日常生活がそこにはあり、「特別な」事業を実施しているという感覚はない。

何より重要なことは、人々の「日常生活」のなかに中心街がどのように役割を果たしているかであり、逆に言えば中心街の活性化といっても人々の日常生活を離れてはありえないし、また日常生活に関係のないところでの中心街の活性化を考えてもあまり意味がないということを改めて学ばせていただいたと感じている。

その意味で、こうした「休み処」に着眼し、「交流」を生み出す工夫をしている朝霞市の取り組みには大いに触発された。甲府のまちづくりでも「休み処」「交流の場」というのは重要なキーワードになるのではないか。
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