最近の国会情勢のトピックはいわゆる特定秘密保護法案をめぐる議論である。新聞紙上も連日のように法案の修正を巡る与野党の攻防を報じている。
が、一番の関心事は何と言っても昨年成立した「税と社会保障の一体改革法」に基づく「社会保障制度改革プログラム法案」の行方である。少子高齢化が加速し、いわゆる団塊の世代の大量リタイアに象徴されるように、今後日本の社会保障経費は毎年兆円単位で自然増加することが明らかとなっているこの時点で、何も対策を講じなければいずれ制度疲労を起こし破綻の憂き目にあうことは必至である。
今秋、政府は来春消費税率を8%に引き上げる決定をした。昨年の一体改革法に付記された「景気動向をみて」引き上げるとの条項により、昨年末から今年にかけての景気のトレンドから、景気回復の方向にあるとして引き上げを決定したものである。
報道の傾向が、消費税の引き上げにばかり目を奪われ、「国民生活」を直撃するといった論調が多いことには閉口したが、すべてが社会保障制度の持続可能性を確保するためのものであることを忘れてはいけない。
残念ながら、我が党が主張した「軽減税率」の導入については、来春の引き上げ時には実現しないが、10%引き上げ時にはその実施を強く要請している。消費税の逆進性を考慮し、低所得者への配慮が主な理由だが、今から準備しなければ到底間に合わない。
社会保障改革プログラム法案は、今後何をいつまでにすべきかを項目別に法律に明記することにより、制度改革の内容と工程を定めるものである。その中には、例えば70歳以上の高齢者医療の窓口負担の特例減額を廃止し、2割負担に戻すといったような、「負担増」も含まれる。
現代日本は、高度経済成長期からバブル崩壊をへて、これまでの右肩上がりの成長から安定的な「低成長時代」に向かっている。いまは「失われた20年」と比喩されるデフレ経済からようやく脱却しようとしているが、社会構造の劇的変化に対応するために、これまでの社会保障制度をこうした変化に耐えうるものにすることはもはや待ったなしである。
こうした状況で求められること。それは何よりも経済成長を前提とした「富の再配分」という考え方からの転換である。国民にあまねく利益を差し向けるという考え方はいうまでもなく支持を得られやすい。これを維持するために財政運営に無理を重ねてきたのがこれまでの日本である。赤字国債の大量発行による将来世代へのツケ回しとなって、「負担の先送り」が行われてきた。
しかしもはや限界に達している。将来世代へのツケ回しがいずれ破たんするときが必ず到来する。だからこそ、「負担」ということを直視する考え方への転換が求められるのである。そしてこれからは現状をきちんと情報提供したうえで、「負担の再配分」という考え方への転換を進めるべきではないか。
これこそまさにこれからの政治の最重要の役割である。成熟した民主主義を構築するうえでは、「負担の再配分」という考え方は避けて通れない。再び、「パラダイムの転換」を強く訴えていくべきだと考えている。