ここにきてにわかに人口減少社会への「転落」が注目を浴びている。「日本創生会議」が発表した896の自治体が消滅するという予測は、若年女性人口の減少がもたらす現実として、我々に突きつけられた。
日本社会が人口減少へ向かうことは、すでに数年前から明らかとなっている。そのひとつのメルクマールが、出生率である。
団塊の世代が生まれた1947年から1949年の間の合計特殊出生率は4.32という驚くべき数字であったものが、その後低落状況が続き、2005年には1.26まで低下した。その後改善がみられるものの、直近の2013年では、1.43であり、人口維持に必要な2.07を大きく下回っている。
この少子化傾向と同時進行で進んでいた高齢化の陰に隠れて人口減少はさほど目立たなかったものといえるが、いずれ高齢者人口も減少に転ずることは目に見えているため、急激な人口減少が顕在化することは想像に難くない。
この人口減少が我が国社会に及ぼす影響は、複雑な様相を呈している。それは単純な人口減少ではなく、人口構造のいびつさ、すなわち若年人口の減少とこれと反比例する高齢者人口の増加という、社会の活力を再生産することを困難にする厄介な課題を眼前に突きつけている。
これに、いわゆる東京一極集中が拍車をかけているようだ。高度成長期には、都会に多くの若年人口が流入しても地方にはまだ若年世代を供給する余力が残っていたが、今や地方も疲弊している。都会に活力を吸い取られる「ストロー現象」が顕著となっている。いずれ若年世代の都会への流入に陰りがでてくれば、近未来的には都会も超高齢化という大きな課題に直面する。
これは危機的な状況である。このままでは、日本全体の活力が著しく失われ、それこそ「消滅の危機」に瀕することは必定である。
政府は今、地方創生を最重要課題として打ち出している。担当大臣も新たに任命して、国をあげて取り組みを開始した。日本の活力を再び生み出すためには、地方を元気にすることが必要てある。
そのもっとも重要な視点はやはり、地方での出生率の回復であることは疑いの余地がない。そのためには少子化対策だけでなく、地方での生活の組み立てが可能となるような経済対策、雇用対策も必要になるだろう。
これに加えて、若年世代が地方で暮らしていくことに魅力を感じるような地域づくりも必要である。あらゆる政策を総動員して出生率の回復を図り、少子化への歯止め、人口減少への歯止めをかける必要がある。
このように考えた場合、今後10年間が非常に重要になってくる。団塊の世代が75歳以上となり社会保障の受益者が爆発的に増える時代が10年後である。この10年間に政策の重点をこうした若年層への施策にシフトしていかなければ、「担い手」世代が重さに押しつぶされることは目に見えている。
そろそろ人口減少に立ち向かうために次の世代がいかに重要かに真剣に向き合う時期に来ている。