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議会運営委員会行政視察(2)~奈良市~

視察2日目の11月18日は、奈良県奈良市の議会改革状況の調査である。

前日の四日市市がH26の日経グローカル「議会改革度調査」で全国1位となった同じ調査で、全国11位、県庁所在市で1位に輝いている。前回の85位からの大躍進である。

奈良市議会の取り組みの特徴は、平成23年7月設置の「議会制度検討特別委員会」を母体として、現行制度が抱える課題の解決を目指して、運営面の改善の具体的実践を行いつつ、制度面での「議員の政治倫理条例」の全部改正及び「議会基本条例」の制定を同時並行でおこなったところにある。

そこには、議会に対する市民の信頼を高めるため、条例の制定を待って改革策を実行するのではなく、出来るところから改革策を実行しながら条例制定を行うという、実践的な考え方である。

すぐに実行に移した改革策の多くは、例えば本会議や委員会のネット中継会議資料のホームページ公開の範囲の拡大、議会だよりの内容の充実など、議会の情報を市民に分かりやすく伝えることにより「見える化」を進めるというものである。これらは基本条例の制定を待つことなく直ちに実施すべきものとされた。

こうした具体策の実施の一方で、平成23年9月から特別委員会で議会基本条例の検討が開始され、翌24年1月からは作業部会を設置して本格的な作業に入った。中間で自治法100条の2に規定する「専門的知見」を活用し、専門的立場からの助言を求めるとともに、市民アンケートの実施により、条文への市民意見の反映に努めている。

こうした経緯を経て平成25年3月定例会で議会基本条例は可決成立した。

前文に条例の精神というべきものが凝縮されており、紹介すると、目指すところは「地方自治の本旨に基づき議会の権能を高める」ことにより、市民主体の市政・自立した地方公共団体の構築を推進することにある。

その具体的な方策として、「市政運営の監視と評価機能」を強化するとともに「政策立案、政策提言」を積極的に行う。議会に期待される機能として最近の議会改革の主流となっているものである。

こうした努力とともに、市民に開かれた議会、信頼される議会となるために「情報公開や説明責任」を積極的に果たすことを宣言している。

本文には、近年の議会基本条例で多くみられる「改革条項」がほぼフルスペックで規定されている。すなわち、「議員間の自由討議による合意形成(23条)」「文書による質問制度(21条)」(国会の質問主意書と同様の制度)「一問一答制(第16条1項)」「反問権(16条2項)」「議会報告会(12条)」「議員研修(22条)」などである。

いずれの基本条例も同様であるが、分権時代の即応した議会の在り方として、議会機能の強化が求められるのであり、特に2元代表制のもとでは、執行機関の監視はもとより議会の視点からの政策立案・政策提言による執行機関との「人道的競争」が要請されるものである。

そのためには、議会が単に議員の集合体ではなく、合議制の「組織」であることを再確認する必要がある。「議員間の徹底した自由討議」による合意形成、意思決定を強く主張するのは、議会がこうした「組織」であることからの当然の帰結であり、単に個々の議員の態度表明の単純集合では決してない。

「組織」としての意思決定は、例えば会社ならば株主総会の決定であり、また業務執行の場面での取締役会の決定である。そこに至る過程では株主や取締役の議論があり、その結果としての決定は、会社という「組織」の決定であり、単に個々の株主・取締役の決定とは言わない。

総じていえば、議会改革というのは、結局はこうした「組織」 としての議会の権能の充実強化である。

執行機関が組織ならば議会も組織である。しかし執行機関が行政運営に携わる組織としてすでに整備充実しているのに対し、議会はまだまだこれからである。

近年の議会改革のうねりは、分権時代にふさわしい、かつ2元代表制という地方自治の本旨にかなった議会の組織としての権能の強化がその目指すところである。

奈良市議会もこの命題に的確に対応したからこそ、改革度が飛躍的に向上したものといえるだろう。

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