先週21日に衆議院が解散され、12月2日公示、14日投票の選挙日程が決定された。
一昨年の衆議院議員総選挙から約2年のこの時期に再び総選挙が行われることに、当初戸惑いと反発があったようだ。
野党からは、「解散の大義」を問う発言が相次いだ。実に奇妙な光景である。
政権運営に異を唱え、解散して国民の信を問うべきと声高に叫ぶのが野党のこれまでの態度であった。いうまでもなく、議席増を目指すことができるチャンスが解散総選挙である。
であるにもかかわらずである。解散に反対するということは、裏返せば連立政権の政権運営を是とすると言っているに等しい。
その理由として挙げている一つに、多額の費用をかけてなぜ選挙しなければならないのか、というのがある。これなどは、議院内閣制を定めた憲法の規定を無視した論外の主張である。
国の行く末を左右する重要事項について解散総選挙により国民の信を問うのは、憲政の常道である。そのため、衆議院議員は任期があってないようなものである。「常在戦場」といわれるゆえんである。
当然、国民の信を問うためのコストについては憲法で予定されているというべきである。こうしたコストをかけても国民の信を問うというメリットの方がはるかに大きいというのが民主主義であり、「主権者」である国民の立場からは、よくぞ信を問うてくれた、というべきである。
そこで今回の選挙で信を問う内容が問題となる。安倍総理は、税と社会保障の一体改革法で時期まで明記されている消費税の引き上げを先送りにすることは国民の信を問うに値する重要事項だとしている。
当然この判断に至った大きな要因は、直近の経済指標が思わしくなかったことにある。デフレ脱却のために実行した「アベノミクス」を今後も継続すべきかどうか、国民の判断を求めることも十分うなずける。特に長い間のデフレ、景気低迷から脱却し、地方にまで景気回復の実感を浸透させるために、アベノミクスの継続実施が必要なのかどうか。一つの論点になる。
消費税の引き上げは、超高齢化・人口減に向かう我が国の社会保障制度を持続可能なものとするため、避けて通れない問題である。その引き上げを先送りすることは、当然社会保障制度をこの間どう手当てするかという問題とセットで主権者の判断を仰ぐべき重要事項である。
加えて、消費税の逆進性を緩和するための「軽減税率」導入も大きな焦点となる。消費マインドを冷やすことなく適正な負担を求めるためには、やはり、食料品などの日常生活に不可欠なものについては税負担を軽減することが必要である。
こうしたことを総合的に考えれば、この時期に衆議院を解散し、総選挙を行うことは、国民主権の基本理念からいって批判されるべきことではない。
野党の選挙準備態勢が整わないうちに解散するのだろう、というシニカルな評論家的な見方も一部にあるようだが、前述のように、衆議院は常に解散がありうる「常在戦場」なのであり、そのため国民のためにしっかりと働いているという実績を残していくことが、何よりの「選挙準備」ではないだろうか?
いずれにしても、我々はこれまでの実績を丁寧に訴えていくだけである。そして今後何をしていくのかを具体的に提示し、理解を求める努力をするだけである。決して「アラさがし」だけに終始するような無責任な態度だけはとるまい。と。