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また甲府市議会が。。。

7月9日付地元紙に「甲府市議逮捕」という見出しが躍った。7月7日の懇談会で飲酒後、代行車が来るまでの間、駐車場に停めてあった自分の車を移動させようとして、誤って駐車場のフェンスに衝突し破損させ、そのまま代行車で帰宅してしまったというものである。

目撃者からの通報で警察が車両から市議を特定し、事情聴取を行ったようだ。7月8日の午前2時半頃から同日の午後2時過ぎまで聴取が行われ、一旦は解放されたようである。

市議から議会事務局を通じて、議長、副議長に経過を報告したい旨の連絡があったことから、急きょ4時半に市役所に副議長の私も参集した。全くの寝耳に水の事態である。

市議からの報告聴取は午後5時前から始まった。市議からは、代行車が到着するまでの間に車を移動させたこと、誤って駐車場のフェンスを破損したこと、次の日に駐車場の所有者に破損についてお詫びするつもりだったこと、警察の調べに対し、あくまで駐車場内での出来事であり、道路交通法違反という認識はないと主張したこと、等の報告があった。

報告を聞く限り、警察と市議との間に認識の食い違いがあることから、道路交通法に抵触するか否かの事実関係の調べの推移もみた方がいいと判断し、この日は散会した。

ところがこの日の深夜、事態が急変した。市議が逮捕され、11時から警察の記者会見が急きょ行われることとなったとの情報が私のもとに入った。直後に議会事務局長からも同様の連絡が入った。

こうなると「議会として」の対処を求められるのは必至である。すぐさま会派代表者会議の召集を局長に要請し、翌9日の10時から急きょ代表者会議が開かれることとなった。その日の朝の新聞に冒頭の見出しが躍ったのである。

9日の代表者会議では、各代表者に経過を説明し、あわせてコンプライアンスの徹底を図った。この時点ではまだ捜査情報の具体的内容が判明していなかったため、捜査の推移を注意深く見守り、しかるべき時期に適切に対応すべきという意見で集約された。

マスコミからは会議終了後に議長に取材が殺到した。当初は会議でどのような意見が出たか、議会としてどう対応するのか、から始まって、最後は議長としてこの事態をどう受け止めるかなど議長個人の見解を求める質問も浴びせられた。

取材が一段落したのちに、今度は市議の所属政党が午後3時半から記者会見を開き党としての対応を発表するとの情報が入った。

その内容を見て初めて、党として議員辞職勧告をし、市議もこれを受諾したこと、及び一転して駐車内での出来事でなく、一旦公道に出てからフェンスに衝突したことを認めたことが明らかとなった。

これが今回の事件の大まかな流れである。

もちろんこの間、議長も私も事務局も早朝から夕方まで、自治法や会議規則、実例などを基にあらゆる対応策を検討協議していたことは言うまでもない。

この一連の経過から、改めて現在の制度上の限界等について考察した。

まず、マスコミ等の関心は一つは「議会としてどういう対応をするか」にある。これは裏を返せば、今回のような不祥事について本人を辞めさせる方途が議会にあるか否かということに帰着する。

この点に関しては残念ながら自治法上は、「除名の懲罰」ぐらいしかない。これは要件が厳しく、議会を開いて、3分の2以上の議員が出席し、しかも出席議員の4分の3以上の同意がなければできない。

一般的に耳にする「辞職勧告決議」は、法的な拘束力がないため、議員を強制的に辞職させることはできない。しかもこの場合も議会を開いてその議決が必要となる。

あとは、議員が議長に辞職を願い出るしかない。

ここで自治法が予定する「議会の姿」が浮かび上がる。議会を招集する権限は議長にはなく、首長が持っている。ということは、基本的に議会は首長の提出する「議案」の審査をする機関であり、今回のような議会内部の事案について議会が自律的に会議を開くことは予定していないということである。

おそらく、法律に規定していないのは、そもそも選挙で選ばれる議員たる者は当然人格識見ともに優れた「選良」という前提に立っている、ということだ。そこには不祥事を起こすはずがないという思想が読み取れる。

このことは我々議員がもう一度肝に銘ずべきことである。

もう一つは、議会の組織としての一体性が極めて弱い制度上の限界があるということである。議長に認められているのはあくまでも「会議」における秩序維持の権限である。首長のような「指揮監督権」は残念ながら議長にはないのである。

だからこそ、議会としての対応といってもはたから見れば歯がゆいものとならざるを得ないのである。

議長がその立場で議員に対して辞職を要請することは制度上無理である。首長に要請して議会を招集してもらい、そのうえで議決をしなければならないという手続きを踏まなければならない。

今回の件は、今後いつ本人から辞職願が提出されるかに焦点が移っている。この場合でも、辞職願を受理した後、許可するにあたって直接本人に最終的な意思確認を行うことが手続き上求められる。

歴史と伝統ある甲府市議会の信用、市民からの信頼が失墜したことは紛れもない事実である。

今後の課題として、市民の負託に真に応えていく議員一人ひとりの自覚、いうまでもなく自治法で予定している「選良」としての矜持を保つこと、また、議会が真に自律能動的な組織体へと脱皮するための制度改革が喫緊のものとして求められることは言うまでもない。断じて肝に銘じていくこと決意した。
議会がこの闇から抜け出せるか? 議会がこの闇から抜け出せるか?