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総務委員会行政視察(3)~上越市~

視察最終日の16日は、新潟県上越市での「空き家等の適正管理及び活用促進に関する条例」の研修である。

上越市は今年3月開業の北陸新幹線上越妙高駅の新設で今注目を浴びている、人口約20万人の特例市であり、規模的にはほぼ甲府市と同等である。昨年の豪雪の際は救援に多大なお力添えをいただいた大恩がある。

全国的に危険な空き家にかかる対策が課題となっている中、豪雪地帯でもある北陸地方では特に空き家対策が喫緊の課題となっている。特に、核家族化とともに高齢化の進行、若者世代の流出などは、一層空き家の増加をもたらしている。

上越市では、平成24年度から議会が積極的に研究を進め、2年半かけて議員提案の条例施行が実現している。

当日は、条例化に向け議会に設置された政策形成会議の座長を務められた議員から説明をいただいた。特に興味を引いたのは、その経緯と議会が基本条例に基づいてその機能を発揮した結果としての条例かである点である。

上越市は議会改革度でも全国上位にあり、その活動の活発な状況に新鮮な驚きを覚える。空き家条例は、座長の言葉通り、理念条例であれば実効性に難点があること、逆に政策条例だと予算が必要な施策を当局の理解なくして実行できないという難点がある。

こうした点から、当初本会議等での質問で条例化を提言してもなかなか当局も腰をあげなかったようである。そこで議会が議員提案を目指しての行動を起こすこととなった。

条例検討中には国のいわゆる特別措置法制定の動きがあり、内容についての整合性に気を使ったということである。

条例が一般的に要請される、危険空き家の最終的な除却とともに空き家が危険化しないようその利活用を目指していることは、最近の制定自治体の趨勢である。特に留意すべき点は次の2点である。

第1点目は、空き家が長い間放置され近隣等への危険が顕著になったとき、究極的な手段として行政代執行による空き家の除却があるが、 憲法29条の私有財産権の保護とのバランスである。

端的に言えば、空き家の除却が財産権の侵害とされないための「手続きの順守」である。憲法では「公共の福祉」に反しない限りの財産権の保護を規定していることから、特措法の手続きである、助言、指導、勧告、命令というすべての手順を踏むことが要請される。

2点目の空き家の利活用であるが、現実的な課題としていくつか指摘される。

まず、空き家を市場に「流通」させることにかかる官民の連携が要請される。夏の時事通信社のセミナーでも伺ったが、いかにして良質な状態での空き家の市場への流通を実現するかがカギとなる。

そのためには、流通させる手法として行政の「空き家バンク」制度を主とするのか、あるいは民間不動産会社のストックへの適切な情報提供を主とするのか、その兼ね合いの程度いかんでは、「民業圧迫」といった弊害による空き家の適切な市場への流通が阻害されかねない。

上越市の条例では、「空き家等対策計画」の策定を義務付けており、その中でおそらく対応していくことが推測される。

空き家の「状態の保全」という観点からは、いわゆるリフォーム助成なども必要になってくる。また、空き家の賃貸等権利関係の流動化を促進するうえでは、賃貸等を行った場合の税制の優遇措置とか奨励金交付などの施策も検討の余地がある。

空き家が危険化するまで放置する一つの要因として、固定資産税、都市計画税の住宅用地特例があり、また解体コストが依然高いこともある。これらの点について必要な支援策を適切に講じていくことも空き家の適正管理という観点から要請されるだろう。

ただし、これらの経費はあくまでも税金からの支出であることから、空き家対策を講じることとの利益較量を厳密に行わないとかえって無駄との批判を受けかねないことに留意すべきである。

上越市での研修の締めくくりとして、埋蔵文化財センターで、宿命のライバルである上杉謙信公の足跡をたどりながら、帰甲の途についた。

上越市埋蔵文化財センター 上越市埋蔵文化財センター