会派視察3日目の21日、午前中に松本市役所を訪れた。視察事項は、健康寿命延伸都市の取り組みと子供の権利条例についてである。
松本市は長野県のほぼ中央に位置し、人口24.2万人で県内2位の市である。面積は978.4k㎡で県内1の広さを持つ。
「三ガク都」のまちづくりといって、①山岳のまち「岳」都、②音楽のまち「楽」都、③学問のまち「学」都をアピールしている。それぞれが納得させられるものである。
最初の視察事項、「健康寿命延伸」都市の取り組みについてである。
松本市が進める都市戦略はまず第一に、超少子高齢型人口減少社会においては、「健康」を20年・30年後を見据えた「活力ある超高齢社会の源」ととらえ、健康寿命を延ばす地域づくり、都市づくりが基本的方向としている。これは、市長が医師であることとも密接に関連するように思われる。
そして、その基盤を「地域」におき、健康な地域の具体的姿として、要介護・寝たきりの人が少ない、孤立した市民が少ない、活動的な生活を送る人の割合が高い、ととらえる。このことから健康時から終末期に至るまで、継続的なケアが担保され、安心して暮らし続けることのまちづくりを目指すとしている。
この健康寿命延伸という「共通価値」を目指して、企業、市民、行政がそれぞれ連携していく。具体的には、企業は市民ニーズに対応した研究開発に取り組み、市民は自分の健康状態をデータ化・見える化することによって継続的に管理していく。行政は、健康づくり・健康投資を実施するとともに、企業誘致と雇用創出を推進する。それぞれが「健康寿命延伸」というメルクマールのもと役割をはたしていくということだ。
こうした共通価値の創造は、健康増進や疾病予防、生活の質の向上、ソーシャルキャピタル(社会的な絆、地域社会との絆)の形成といった社会的課題の解決に経済的な利益を結び付けることにより実現できるととらえ、「松本ヘルスバレー」、すなわち健康な市民が暮らし、その人々に磨かれた産業が定着、健康に関する情報、投資、人が集まる健全な地域循環という形で提示されている。
そのイメージ図が次の図である。
その推進のための産学官連携のプラットフォームとして、「松本地域健康産業推進協議会」が組織されている。
健康寿命の延伸、健康づくりを産業面で支える、という切り口からの発想が、「松本ヘルス・ラボ」である。推進協議会が支援しながら、市民と企業の共創によるヘルスケアビジネス創出を目指し、産業面から健康づくりへのアプローチを行う具体的なモデルである。
このヘルス・ラボの機能として、企業と市民が一緒に健康価値をつくることを目指す「リビング・ラボ機能」、健康価値を地域で磨く「テストフィールド機能」、そして「市民参加と健康情報の蓄積機能」、この3つの機能の好循環により「健康」を「モチーフ」としたビジネスモデルを作り出す。
健康寿命延伸をヘルスケア産業の創出という形でアプローチし、これに「地域づくり」という側面からの住民参加を取り入れたことで、超高齢型人口減少社会での課題解決に結びつける考え方はアイディアとして非常に示唆に富む。
特に、高齢化というとかくマイナスイメージをポジティブな発想に転換するものとして、地方創生の一つのモデルとなりうる。また厚労省が進める地域包括ケアシステムの構築にあたっても、大いに参考とすべきではなかろうか。