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内発性の地域づくりへ

甲府市も向こう10年間の行財政運営の指針となる総合計画案を策定し、12月定例会に提案する運びとなっている。

総合計画は言うまでもなく、自治体の最上位計画であり、あらゆる事業、施策がこれをもとに展開される。いわば自治体の最高規範、憲法というべきものである。

当然のことながら、まちづくりの方向性も規定するが、高度成長期を経てバブル経済後の日本社会はおしなべて共通の課題を抱えているといえる。

それは、人口構造の劇的変化であり、人口の大都市圏への過度の集中、そして大きな課題は人口減少局面を迎えての地方の「衰退」という特徴的な事象である。

甲府市の総合計画も人口減少を受け止めながら、どこに歯止めをかけるかを意識するとともに、一方で国の法律に基づく人口ビジョン及びこれと表裏一体の成長戦略を策定することによって、今後の甲府市の都市像を提示する。

人口減少という市をあげての困難な課題に立ち向かうための施策の総合的かつ計画的な展開は当然必要である。社会の活力を維持し、持続可能性を確保することは市民生活の発展のうえから最優先に考えるべきものである。

2025年に団塊世代が全て75歳以上となる超高齢社会の到来が避けて通れないことと併せて概観すれば、生産年齢人口の維持、子どもを産み育てやすい環境の整備も求められるだろう。そのための施策もこれまでもそして今後も取り組みがなされるだろう。

問題は、この総合計画の実行が単に行政の枠組みをはめる計画だけに終わるとするならば、果たして甲府市の都市像実現に真に寄与できるか否か不安を覚える。

特に人口減少がもたらす常識的な疑問としての税収減による財政規模の縮小が起こりうることを考えるならば、これまでのような「右肩上がりの時代」の行財政運営の考えは通用しなくなると考える。

すなわち「行政出動」による公共財の投下の限界が否が応でも意識されることから、「負担の分配」というパラダイムの転換もいよいよ求められるだろう。

こうした新たな局面を迎える中で、総合計画が目指す今後10年の甲府市づくりという点からあえて言うならば、求められる考え方として「内発性の地域づくり」ということを提唱したい。

「内発性」というのは、自ら主体的に取り組むという意味合いを指している。内発性の地域づくりという場合、端的に言えば、地域自らが自分たちの課題を的確に認識し、その解決のために第一義的に地域自らが取り組むというまちづくりの考え方である。

これまでのまちづくりの主流の考え方は、ほとんど「インフラ整備」といっても過言ではない。当然地域だけでは到底解決できず、自然と行政主体のまちづくり、いいかえれば「行政依存型」のまちづくりである。

地域の態度は自然と「陳情型」となり、限られた公共財の「分捕り合戦」の様相を呈し、いつの間にか、地域の課題すべての解決を行政にゆだねる習慣が染みついてしまっている。ここに地方が元気をなくす大きな要因がある。

県庁在職中の平成16年に「防犯のまちづくり」の仕組みづくりに携わったときに、この「依存体質」が地域の課題解決力を次第に低下させ、結果として地域の治安悪化を招いていると分析したことが今でも記憶に新しい。

その時の呼びかけが「自分たちの地域は自分たちでつくっていこう」ということである。「内発性の地域づくり」がまさにこれである。

課題解決に自ら汗をかく。そして地域活動につなげていく。その結果、再び地域が元気を取り戻す。行政の役割はその後押しとしての支援であり、決して「手を出しすぎてはいけない」ということである。

依存意識からの脱却は容易ではない。しかしその努力を怠ってしまうとやがて地域の魅力消滅につながりかねない。子どもたちが将来戻ってくるためには、彼らに地域の魅力、そこで営む我々大人の生活の姿を焼き付け、故郷の誇りというものを少しでも感じ取ってもらうことが肝要ではないか。

こうした意味からも「内発性の地域づくり」が多少遠回りでも人口減少局面での希望の光となりうると確信している。それが地方創生の一つの姿ではないだろうか。

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