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12月定例市議会閉会

甲府市議会は15日、提出議案すべてを可決し閉会した。

今議会は会期中に甲府駅北口のエスカレーター天井屋根ガラスのひび割れ問題の報道があり、当局の公表のあり方、議会本会議での取り上げ方の可否など、2月の窓枠落下とからめた議論が一部であった。

この件を通じて、改めて市民への安全が確保されている中での通常業務のとらえ方について、いたずらに不安をかきたてることを防ぎながら理解を求めることの難しさを感じた。

特に、窓枠落下の件と異なり、今回の件は、採光を最大限確保しつつ当然予想される外的な衝撃に対して耐えうるガラスの性能が残念ながら知られていなかった点が各方面に不幸な誤解を生んでしまった。

当該ガラスを採用した最大の理由は、衝撃に対して破損しにくいこと、破片が飛び散らないこと等であり、逆を言えば外的「力」に対して一部で非難されているようなガラスが落ちてくる可能性はないということである。

だからこそ、ひび割れを発見した時の対応は「念のため交換」ということであり、「通常業務」の範囲だった。通常業務の範囲であれば、すべてを市長へ情報を集めるなどという非効率な組織運営は本来しない。

全ての誤解は、今回のガラスのひび割れが市民の安全に致命的な影響を与えるものではなかったにもかかわらず、単に高所にある天井ガラスだから、という理由で危険だとした点にある。それは、防犯、防災ガラスの性能に対する無理解から生じている。

この件が、県内の様々な施設へ及ぼした影響は大きい。中にはちょっとしたひび割れもすべて公表に走ったところもあるのではないかと思う。「放置した」とレッテルを張られるのを嫌がったのだろう。

別にこうした動きを否定するわけではない。市民の安全安心を確保するのは自治体の主要な役割だ。

しかし、甲府市の事例では、「危機管理」の在り方にまで話が飛躍してしまった。この程度のことが「危機管理」などといわれるようでは、より深刻なクライシスへの対応が軽くなりはしないかと危惧を抱く。

まず大事な点は何か。それは言うまでもなく安全確保を最優先で対策を講じることだ。その中には、原因の早急な究明による2次被害の防止も含まれる。安全確保のために迅速な情報提供による避難誘導もあるだろう。

当然何かの事案が発生した時に、内容も把握しない段階でとにかく事実のみを発表すべきという論調もある。しかし、原因も分からず、どういう対策を講じなければならないか不明な時点で、いわば生煮えの情報を提供した時に予想される反応は「パニック」である。残念ながら県内のマスメディアはこうしたことが理解できず、いたずらにスクープ集めに血眼になって奔走する。レベルが低いところばかりで、情けない。

情報を提供する側と受ける側双方に大混乱が生ずるのは目に見えている。危機管理で大切なことは、「事実」とその対策が講じられているという「安心の情報」である。

事実のみをとりあえず伝えるという姿勢は、往々にしてあとは市民の判断に任せるという無責任さにつながりかねない。

市では現在危機管理体制の見直し作業を進めている。その際、おそらく、情報を組織内で共有する範囲、公表の在り方などが議論されるだろう。

結果の重大性に対して執るべき対策を考えることは当然であるが、市民の視点での妥当性も考慮に入れながら、危機対応にふさわしい内容に仕上げていただきたいと願うばかりである。今回のような不毛な論議が起こらないようにするためにも。

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