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総務委員会行政視察(2)~姫路市~

視察2日目の10月12日。この日は姫路市で「連携中枢都市圏構想」について研修した。

連携中枢都市圏構想は総務省の資料によると、「地域において、相当の規模と中核性を備える圏域において市町村が連携し、コンパクト化とネットワーク化により、 人口減少・少子高齢社会においても一定の圏域人口を有し活力ある社会経済を維持するための拠点を形成」するというのが目的とされる。

すでに国を挙げての課題である「人口減少」「少子高齢化」をいかに乗り越えるかという視点から、成長戦略、人口ビジョンの策定が各自治体において進められているが、人口減少が地域の活力、経済成長に与える影響は計り知れない。

これまで、単独の自治体だけでは解決困難な課題に対処するため、広域的な自治体相互の連携協力の取り組みも進められてきた。

古くは、地方自治法上の「一部事務組合」制度が、特定の行政課題への対処のために特別な地方自治体を設立する方法で自治体の枠を超えた広域的な連携を実現するものとして法定化されている。

その後複数の自治体が一つになることで広域的な課題を自治体内部の課題として解消していく平成の大合併があったことは記憶に新しい。

こうした動きが一段落してもなお広域的な課題は消滅しない。自治体相互が役割分担しあってお互いに不足する資源を相互に利用し補てんし合う「定住自立圏構想」が生まれてきたのは必然の流れだったといえる。これは、いってみれば自治体が独立性を保持しながら「緩やかな連帯」をしていくというイメージである。

しかし、人口減少局面を迎え、将来的に人口が半減するといった人口推計や増田レポートが指摘した消滅可能自治体などの警鐘は、社会経済の活力維持と持続可能性のうえから、我が国社会に大きな衝撃を与えたのは事実である。

国がまち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、各自治体にも総合戦略、人口ビジョンの策定を求め、国をあげて地方創生に取り組むことを決定したのは、経験したことのない人口減少・少子高齢化という困難な課題解決のため、「地方から活力を取り戻す」ことが大きな狙いであることは疑いの余地がない。

こうした流れの中で、姫路市が取り組んできた「連携中枢都市圏構想」が国の制度として取り入れられたようである。

総務省の資料によれば、連携中枢都市圏に求められるものとして

① 圏域全体の経済成長のけん引 (産学金官の共同研究・新製品開発支援、六次産業化支援 等)

② 高次の都市機能の集積・強化  (高度医療の提供体制の充実、高等教育・研究開発の環境整備 等)

③ 圏域全体の生活関連機能サービスの向上  (地域医療確保のための病院群輪番制の充実、地域公共交通ネットワークの形成 等)

があげられている。

これを実現するために平成26年度に地方自治法が改正され、自治体間の柔軟な連携を実現するため「連携協約」の制度が導入された。連携中枢都市圏形成の手続きとして、連携中枢都市宣言→連携協約の締結→都市圏ビジョンの策定 という流れがある。

中枢都市には圏域人口に応じた交付税措置がされるのと引き換えに、圏域全体の発展のための強いリーダーシップが求められる。いわば「圏域の一体化」がより求められる点で、定住自立圏構想より一歩踏み込んだ「強い連帯」ということが出来る。

姫路市が中枢都市となっている「播磨圏域連携中枢都市圏」はそれぞれ特筆すべき地域特性を持つ8市8町で構成されている。古くは「播磨の国」という一つの国であったという歴史的な背景も都市圏形成に大きな力となったようである。圏域全体の人口は約130万人となっており、そのうち、姫路市は53万人、次いで加古川市が26万人、残りは10万人未満の市町である。

国の分類に従った圏域全体の取り組みとしては次のとおりとなっている。

①「経済成長のけん引」としては、 放射光施設活用促進事業及びスーパーコンピューター活用促進事業、企業誘致、播磨地場産品販路拡大事業、広域観光事業などに取り組んでいる。

特に、企業誘致では、姫路市が中心となって、圏域内の自治体への企業誘致に成功しており、また販路拡大では、東京浅草の「まるごとニッポン」に開設したテナントショップで圏域各自治体の特産品の販売を行うなど、小規模自治体では困難な販路拡大も圏域で連携協力することにより可能となったことは大きな成果である。

②「高次の都市機能の集積・強化」では、JR姫路駅前の整備とネットワークづくりに取り組み、魅力ある商業施設、付加価値の高いサービス産業、コンベンション機能を備えた施設などの導入を進めていくとされる。

③「圏域全体の生活関連機能サービスの向上」では、社会施設・図書館相互利用促進に力を入れている。各自治体にはそれぞれが特色を持った施設があり、結構相互利用の実績があるという。

この連携中枢都市圏構想実現にあたっては、姫路市の副市長が相当骨を折ったようである。当然「姫路市の一人勝ち」にならないかとか、吸収合併されるのではないか、という疑念を持たれたりして、かなり難航したようである。特に赤穂市は「忠臣蔵のふるさと」といった歴史的な背景もあって、参加も最後になったと聞く。

今後おそらく避けて通れない、人口減少・少子高齢化にどう立ち向かっていくかを考えるにあたって、自治体間の連携を強固にして、「ある程度のまとまり」で立ち向かうという方法も有効ではないかと強く感じる。

これが例えば、圏域というまとまりに至らないまでも、甲府市という「まとまり」のなかで、地域間連携で立ち向かうという手法も有りではないか。その際、やはりコアの存在とその担い手としての強いリーダーシップが求められるのは言うまでもない。

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DSC_0004 暴れん坊将軍に使われた城の遠景