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12月定例市議会から

甲府市議会は12月7日から当局への質問に入った。本日は各会派からの代表質問である。

今議会は市長が「健康都市こうふ基本構想」の策定を表明し、健康ポイント事業関連の補正予算案を提出したが、これに関する質問のほか、注目したのは過日公表した「協働のまちづくり基本方針」と自治会組織のあり方についての質問である。

地域づくりの重要なパートナーである自治会組織は連合組織が誕生して60周年を迎えたが、年々加入率が低下しているという。

特定の課題解決のためのNPOやボランティア組織なども協働の主体として重要な役割を担うことはもちろんであるが、我々が地域で日常生活を送ることを考えると、自治会組織はそれ以上に重要である。

特に、阪神淡路大震災や東日本大震災など、地域に壊滅的なダメージを与える大災害を経験した我々は、改めて地域コミュニティの力によってこうした困難を乗り越えていくことを学んだ。

近年の生活水準の向上や核家族化などを背景に、地域における人間関係も次第に希薄化しコミュニティの瓦解の危機も指摘される状況に対する警鐘が大災害によってもたらされた。

ある面個人主義と個人の尊重とを混同する風潮や高度経済成長がもたらした生活の豊かさは、人間社会が本来「関係性」をその基本としてきたことを次第に追いやってきた。

こうした風潮は他者の支援や助力を次第に煩わしいものと感じ、地域における最低限の連帯をも失わせる懸念を生む。

そこに行政「サービス」という都合のいい概念が導入された。だが、これは一方で地域の課題解決を行政に肩代わりしてもらおうという依存意識を助長しかねない両刃の刃的な存在だ。

6月定例会でこのことを取り上げ、今一度課題解決に向けた地域の主体性、自主性を回復するための「協働のまちづくり」という考え方について質した。

人口減少局面を迎え、また高い確率で発生が懸念される大規模災害をいかにして乗り越えるかを考えた場合、地域をもう一度課題解決の主体に押し上げていかなければならない。

既に10年以上前からパラダイムの転換を進めるべきだ、と訴えてきたが、地域に住んでいる我々が地域課題を「我が事」ととらえる当事者意識を醸成すること、そのためには地域への帰属意識や地域に対する愛慕の念をいかに育てていくか。

ここに協働のまちづくりのホシがある。自治会加入率の低下に対して関係者は大きな危機感を持っている。おそらく地域における連帯意識が次第に薄れてきたことも一因としてあるだろうが、これをもたらしたのは、高度経済成長が利便性の追求と引き換えに犠牲にしてきた「関係性」ではなかろうか。

かつて15年位前に甲府駅の付近の道路で高齢のご婦人が歩道の切れ目の段差で手押し車が立ち往生した場面に遭遇したことがある。手押し車を歩道に上げるお手伝いをしたらそのご婦人は何度も何度もお辞儀をして感謝の気持ちを全身であらわした。

当時はバリアフリーとかユニバーサルデザインという考えからが全盛だった。当然、このちょっとした段差がいたるところに存在することに腹立たしい気持ちもあった。

だが、よくよく考えてみると、バリアフリーとかユニバーサルデザインという思想は、ハンディを負っている人に対する物理的な支援として有益だが、行き過ぎると「人の手による支援」という風潮を次第に追いやりはしないかという考えが強くなった。

まちづくりも「人」を度外視しては決して成功しない。地域の担い手をどれだけ多く登場させることが出来るか。魅力的な人材をどれだけ輩出できるか。

こうした問いにはっきりと胸をはって答えることが出来るとき、自治会をめぐる様々な困難はいい方向の解決にむかうだろう。

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