2月6日は午前中市議会議長会の研修に参加し、「白磁の人」ほか多数の著作で知られる江宮隆之氏の講演を拝聴した。テーマは郷土に誇るべき甲州財閥の先人たちである。
明治維新後の日本の電力、鉄道といったインフラを切り開いていった若尾逸平氏や雨宮敬次郎氏、根津嘉一郎氏をはじめとして中央線や身延線、日本初の地下鉄を創設した先人たち、さらには関東大震災後の廃墟と化した銀座にデパートを建てた古屋徳兵衛氏など、 山梨県人がいかに明治以降の日本の基盤建設に寄与してきたかを江宮氏が熱く語った。
中には、多大な功績がありながら本県ではあまり名が知られていない先達がいることに愕然とした。
甲州財閥と聞くと「甲州商人」を連想し、あまり好ましいイメージを抱かないのがこれまでであったが、江宮氏の指摘どおり、甲州財閥の先達は事業で成功した分「社会に恩返しを」という崇高な理念に貫かれている。
今の世に再び声を大にして訴えたい「地域への貢献」が先人たちに共通する生き方であったことは、受け継ぐべきDNAだということだ。今後の甲府のまちづくりを語る上でこのことは強調したい点である。
午後は市町村自治講演会に参加し、反貧困で有名な湯浅誠氏の子どもの貧困に関する講演を拝聴した。
ここ数年、子どもの貧困、とりわけ相対的貧困が取りざたされている。学習支援や子ども食堂などの取り組みが広がってきている。
相対的貧困はOECDの指標であり、所得の面からのアプローチである。「行き過ぎた格差」は人権の面、経済成長の面、社会発展の面から問題があるとする。地球全体の持続可能性の観点から相対的貧困問題を解決しなければならないと主張される。
これに対して湯浅氏は、金、つながり、自信の3つがないことを貧困と定義し、ここからどういう手立てを講じればいいかを論じる。
例えば、金がないばかりに友達づきあいを躊躇し、やがては疎外し、孤立する。負のスパイラルに陥り、やがては自己肯定感、自信も喪失する。
事態が深刻化して初めて問題が露呈し可視化されるがこの段階では解決が困難となってしまう。赤信号がともる前に黄信号の段階で問題をキャッチし、対策を講じなければならないという。
人間関係の希薄化や他者へのかかわりを次第に敬遠する社会にあって、こどもの貧困を何とか改善するための環境づくりを議員に期待すると氏は言われた。
より具体的に指摘したのは、「子どもの居場所づくり」である。その機能として①衣食住の提供、②体験の提供、③その子のために時間をかける、④トラブル対応とされる。
現代社会ではこうした居場所づくりが益々求められる。学習支援や子ども食堂といった取り組みもとどのつまり居場所づくりに他ならない。
これは特に貧困対策に特化した話ではない。私が「地域での子どもが主役になれる場づくり」と訴えたのもその根っこは同じである。
とかく見えにくい子どもの貧困。特に貧困のレッテル貼りと子どもに誤解されることがあってはならない。だからこそ、子どもにもっと関われる環境づくり、別の角度から言えば温かく見守る場づくりが大事、と恐らく湯浅氏は指摘されたに違いない。
自分の時間をある程度犠牲にしても地域に関わる「プレーヤー」を一人でも増やすことが重要、と午前、午後の研修を通じて改めて痛感した。