先週、樋口市長が再選に向けて政策提言を発表した。首題は「笑顔あふれる甲府の街に 元気をプラス」であり、開府500年をきっかけに次の100年に向けて活力あふれる元気な甲府市をという方向が示されている。
市長選は今のところ樋口現市長のほかに具体的に出馬を表明している者はいないが、報道によれば共産党が候補擁立を進めている状況であり、選挙になる公算は大である。
4月の統一地方選を前に、2元代表制の一方の機関である首長がどのような政策を提示し、今後の甲府を創っていくのかという点は議会側としては極めて重要である。
「善政競争」の相手方たりうるかを判断するためには、提示された政策がいかなる内容で底流にいかなる思想があるか、どういう方向にどのような手段で導こうとしているのか、吟味が必要である。
その意味から今回発表された政策提言について見ていくこととする。
提言は、目指す方向を笑顔に元気をプラスさせた「人とくらし創り」におき、そのために7つの柱(提言では「7つの元気スタイル」)に沿って進めていくという内容となっている。
構成はオーソドックスなスタイルとなっており、7つの元気スタイルはいわば今後の甲府市を考える場合の「課題」であり、その解決のための施策を進めることによって、「人とくらし創り」を実現しようとする内容となっている。
その第1に掲げているのは、「こども輝くまち」を創る である。
市長の公約の1丁目1番地が「こども最優先のまち」であり、我々公明党も理念を共有してきた。
言うまでもなく、我が公明党は人口減少、少子化という日本が直面する極めて困難な課題に対して2006年にいち早く「少子社会トータルプラン」を発表し、「チャイルドファースト社会の構築」を目指すべきことを内外に訴えた。
子育て支援策は今や定番となっているが、社会の持続可能性という現時点で最も外せない視点からは、次代の担い手を育て上げるという観点から施策をとらえていくことが重要となってくる。
議会の中で私が初めて言及した「子どもを主役とした場つくり」が今や通説となって、今回の市長の政策提言の中でも第1に取り上げられたものと思われる。提言で「子育ち」という表現で捉えられているのはまさに子どもを中心とした施策を展開するという趣旨だろう。
このほか第5の柱として「故郷が好きなまち」を創る を掲げる。
若者の大都市圏への流出が地方都市に共通する課題となっている現状に対して、私はこれまで「マイルドヤンキー」という識者の言葉を借りながら、地元愛に貫かれた若者たちも少なからず存在するのではないか、と指摘し続けてきた。
様々な事情から甲府を後にした若者が何かのきっかけで戻ってくるとしたら、それはふるさと愛があればこそである。戻ってきたいと思えるふるさとでなければ誰も戻ってこない。
いくつもの事業を行って若者が戻る環境づくりもこれまで努力してきた。しかし、最終的に甲府に戻ってくるとしたら「愛するこうふ」だからではないだろうか。
かつて、映画「じんじん」を通して、故郷から離れて暮らす若者が居酒屋で自分のふるさとを誰も知らないばかりか、ばかにされたと感じた時、素朴になにくそ、と思うのは、故郷に対する思いが自分のDNAに刻まれているからだ、という趣旨のことを度々議会で発言してきた。
「素朴なナショナリズム」と名付けた、ふるさとの誇りを傷つけられたと感じた時に無意識に反発する心は、故郷で醸成されてきた「ふるさと愛」そのものである。
その意味で、市長提言でストレートにこのふるさと愛が取り上げられていることに、率直な共感を覚える。
今回の市長提言を通じて底流に流れるものは、たぶん人口減少、少子高齢化という極めて困難な課題を直視し、その解決のためにどこに眼差しを向けるべきか方向性を明確に示したものであり、それはとりもなおさず、これまでの議論をベースに持続可能性という観点から我々がこれまで主張してきたことと軌を一にするものだろう。
私も先般すでに重点政策についてオープンにしているが、目指すところは、それぞれ次代に向けて持続可能な甲府市をどう創っていくかという点であり、これを基に今後更なる議論を行い、「善政競争」による持続可能な甲府市づくりに全力投球する決意である。