令和に入り、改選後初となる会派視察を7月25日~26日の日程で実施した。
初日の25日は、千葉県我孫子市の子ども発達支援計画と保育園待機児童ゼロの取り組みについて研修した。
まず子ども発達支援計画である。我孫子市では子ども・子育て支援法に基づく子ども総合計画の部門計画として、平成27年度に発達に支援が必要な子どもに対し、ライフステージに応じた支援体制の構築を目的とした同計画をすでに策定していた。
この間児童福祉法改正による障害児福祉計画の策定の義務付けがあったため、その内容を加味して平成30年度から32年度までを計画期間とする、改訂版子ども発達支援計画を策定した。
同市の特筆すべき点は、国からの義務付け以前に、子どもに関する課題の抽出・整理が行われ、その解決のための道筋がすでに計画として示され、取り組まれている点である。
近年新たな「障がい類型」として、発達障害が挙げられるようになった。かって県の障害福祉課に在籍した時代(平成10年から13年)には、その間福祉の基礎構造改革が行われ、「措置から契約へ」というパラダイムの転換が行われた歴史的な時期であったが、障害類型と言えば依然「3類型」であった。
学習障害や自閉症スペクトラム、ADHDなどが新たに意識されるようになってからまだ日も浅い。特に児童の段階ではグレーゾーンの子どももいること、保護者にとって「障がい」を受容しがたいこと、などから支援が必要な子どもに適切な支援が届かないといった課題がある。
我孫子市では、診断名がつく児童に限らず、グレーゾーンに属する児童を含めて「発達に支援が必要な子ども」ととらえ、「すべての子どもが健やかに、安心して育つことができるために」という基本理念を掲げて計画を策定している。
その理念を実現するため4つの視点で取り組みの方向性を示している。すなわち、①子どものライフステージに応じた一貫した療育・教育支援、②子どもの将来と自立に向けた発達支援、③家族を含めたトータルな支援、④子どもと家族にとって身近な地域における支援、である。
そして5つの取り組みの目標を定め、具体的な施策を展開している。その5つとは、①早期発見の促進、②療育支援の拡充、③家族支援の充実、④地域支援の構築、⑤教育支援の拡充である。
特に子どもの成長にしたがって、療育から教育へと一貫した支援を実現するために、療育・教育システム連絡会を立ち上げ、専門職を多く配置することで一人も「見逃さない」という体制を構築している。
健診の機会をとらえ専門家がアドバイスし、支援に繋げていく、また保護者の気づきに適切に対処する専門性も保持する。子ども発達センターを中心とした我孫子市の取り組みは、何よりも子どもを中心にとらえて子どもの幸福の実現のためにという一点で施策を有機的に展開している。本市でこれまで提言してきた「子どもを主役に」という思想と相通じる。
次に保育園待機児童ゼロの取り組みについて伺った。
我孫子市の人口は13万2千人強、首都圏のベッドタウンとしてマンション開発等も進んでおり、要保育児童数も平成11年度に再び1,000人を突破して以来増加の一途をたどり、現在は2千人を超える状況となっている。
大都市圏での待機児童問題を横目に、我孫子市では昭和61年度から現在に至るまで待機児童ゼロを堅持している。希望する保育園にほぼ全員が入園できる状況が続き、また産休・育休明けにスムーズに入園できるように「予約制度」も整備し、子育て世帯に大きなバックアップとなっている。
保育園整備についても注目すべき取り組みを行っている。昭和51年から開発行為指導要綱中に開発区域計画戸数が300戸(現在500戸)を超える場合は保育園用地を確保して市に無償譲渡させ、または建設について事業者の負担で市が施行する、という条項を設けて、大規模なマンション開発の際に保育園を確保近接地に確保するシステムを構築している。
当初は要綱ということもあり指導に苦慮した点もあったようであるが、現在は条例化し、制度として定着している。こうした点は、景観保全のための条例整備などの歴史を見ても同市のまちづくりに関する強い意志を感じ取ることが出来る。
要保育児童数の増加は子育て世帯の絶対数の増加とともに、景気好転による就業機会の拡大なども一因としてある一方で、育休明けの入園も予約制度により事実上確保されているため、育児休業の延長も考える家庭も増えてきているようだ。
そのため、定員割れを生じる園も出始め、赤字が懸念される法人もあるとのこと。また保育士不足や処遇改善などの課題も明らかになっているようである。
いずれにしても、一億総活躍社会の実現を国がうたい、特に人口減少局面にある我が国において女性の労働市場への登場は積極的に推進する必要性が叫ばれる中で、保育園の待機児童の問題は大きな社会的課題としてその解決に頭を悩ませる自治体が多い。
我孫子市は早くからその対応に的確に動いており、先の発達支援児童の取り組みなどとともに、この市における子どもを中心においた施策の展開が現代において大いに先進性を発揮している。