7月26日、視察2日目は柏市にてフレイル予防の取り組みと動物愛護センターの取り組みについて研修を受けた。
フレイル予防に関する柏市の取り組みはあまりにも有名である。フレイルとは、年齢に伴って筋力や心身の活力が低下した状態(身体、精神心理、社会性の虚弱)のこととされ、多くの高齢者が健康状態から、フレイルという中間的段階を経て、要介護状態になるという高齢者の状態像として捉えられている。
年齢を重ねても健康で幸福な人生を送るために、早めに自分の状態に気づき、意識変容、行動変容に繋げ、フレイル状態に陥ることを防ぐことが出来れば、健康寿命の延伸もより可能となる。
その沿革をたどると、平成24年度の東京大学の大規模長期縦断追跡調査(いわゆる柏スタディ)をもとに、平成27年度からフレイルチェックを柏市の事業として開始したことに始まる。
東大の調査結果の分析を通じて、フレイルを予防して健康長寿を実現するために大切な3つのポイント、すなわち栄養、運動、社会参加が明らかとなり、特に、社会参加の機会が低下すると、フレイルの最初の入り口になりやすいことが指摘されている。
このことは我々の地域生活を考えてみると実感できる。高齢単独世帯で地域との繋がりが希薄になった時、一気に日常生活の機能が低下していくケースを何度も見た。
こうした課題意識を基に柏市では、フレイルチェック講座、フレイル予防サポーターの養成、フレイル予防活動の普及・啓発という形で市民一人ひとりが「自分事」としてフレイル予防を捉えるよう後押しをする、そしてこうした市民がサポーターとしてフレイルチェックの普及等の社会活動を行っていく、という循環を創っている。
中心的な狙いはやはりフレイルサポーターとなって社会参加を後押しする点にあるといえる。今いきいきサロン等で高齢者の居場所づくりを行い、引きこもり防止につなげようという試みが定着しているが、このフレイル予防の取り組みは一歩進んで「客」としてではなく、プレーヤーとして活動の中心的役割を担ってもらう点で、能動的なイメージがあると同時に、介護状態と健康状態の中間にあるフレイルに陥ることを防ごうという点でより取り組み目標が具体的でわかりやすい。優れた取り組みと評価できる。
次の研修項目は柏市動物愛護ふれあいセンターの取り組みについてである。
これまで本会議で2度殺処分ゼロの取り組みを提言してきたが、甲府市は動物愛護センターの業務を県のセンターに委託して、4月に中核市スタート、保健所スタートとなった。
柏市では平成20年に中核市となって以降平成26年にセンターが開所した。今回の視察の中心的なテーマはいかにして殺処分数の減少に向けた取り組みを行っているか、である。
犬猫については、やむを得ず引き取る業務とその中で新しい飼い主への譲渡業務を行っており、動物愛護思想の普及啓発や飼い主がいない猫の不妊去勢手術助成制度などの普及等もあり、殺処分数は減少の傾向にある。
犬については狂犬病予防の取り組みや放し飼い禁止などが定着し野犬も劇的に減少していることなどから、センターへの収容頭数も減少し、殺処分も激減している。
問題は猫である。現在室内飼いの指導に力を注いでいるが、不妊去勢手術もしないまま自由に屋外に出かけて妊娠して帰ってくるとか野良猫と交わって一層野良猫が増えるという個体数の限界を超えた増加が問題となっている。
最近、TNRの取り組みが脚光を浴びているが、これは公園等に住み着いている飼い主のいない猫について、これ以上個体を増やさないために、いったん捕獲して不妊去勢手術を施し、終了後元居た場所に戻す、という取り組みである。
地域の理解と協力を得て、エサやりの管理とフン尿の処理を行い、地域との共生を目指す取り組みであり、いわゆる地域猫と呼ばれる取り組みである。柏市では3世帯以上集まればこうした地域猫のボランティア団体として登録でき、不妊去勢手術の申請資格が与えられる。現在70団体ほど登録されているそうである。
動物愛護管理法がこれまで何回も改正され、飼い主の終生飼養の義務付け、保健所等での引き取り拒否など、動物であっても生命の重さは変わりない、というメッセージが発信され続けてきた。
直近の改正でも、動物虐待の厳罰化、マイクロチップ装着の義務付け、生後56日未満の動物の販売禁止などが行われたが、すべてが動物であっても故無く生命が奪われることがあってはならない、という生命尊厳の思想に裏打ちされたものだ。
目を覆いたくなる殺処分方法を考えた時に、そのむごさに声も出ない。生命尊重の思想の広まりが虐待防止やいじめ防止につながるものと信じている。だからこそ何としても動物の殺処分の根絶を単に「目指す」のではなく、必ず「やる」という断固とした姿勢を中核市甲府が持ってもらいたい。その期待を込めての2度の本会議での質問だった。
9月にはもう一度、具体的な政策を取り上げて質問に立とうと考えている。譲渡会やTNR、ボランティアの育成やプラットフォームの構築、愛護思想の普及啓発など切り口を変えて取り上げる予定である。
今一度「生命尊厳」の哲理のうえから問いかけてみたい。