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機関競争(善政競争)を考える

2元的代表制の地方制度において、成熟度が高い自治体では、議会も当局も「機関」としての意識をより自覚した活動を行うものとされる。

これまで、現行制度の不備を補う議会基本条例の制定により、圧倒的な人的資源を有する当局に対してある面バラバラに対してきた「議会」が市民福祉の増進という目的のもとに機関としての一体性に覚醒したときに、大きな力を発揮できることが次第に明らかとなってきた。

伝統的な議会観であれば、議会は選挙によって選ばれた議員の集合体であり、個々の議員はいわば「一人親方」的な存在であったということが出来る。この考えにとらわれすぎると、議員が本来市全体の立場で考え行動すべきところを、自分の選挙民や地域のことばかりに終始する「利益代表」的な存在に陥りやすい。

我々は市から報酬をいただいているのであって、選挙民や地域から報酬をもらってはいない。であるならば、市全体の公益のために働くのは当然である。市民との意見交換会を導入する際に、議会として直接市民から意見を伺うことはこうした市全体の公益のために働く議会の本質上必然のことだ、という説明に対して、すでに市民から意見を(議員個人として)聴いているから、という理由で必要性を否定した論調もあった。

こうした伝統的な議会観の打破のために長い時間を費やしたことは否めない。昨年に至ってようやくパラダイムシフトの第一歩にこぎつけたが、いまだに議会の機関性の確立は容易ではない。

議会改革の第2ステージといわれる現在において、議会も「機関」として当局と「市民福祉増進」のため切磋琢磨して競争しようという主張が次第に市民権を得つつある。機関競争であるとか善政競争といったスローガンで今議会改革の主流をなす主張である。

簡単に言えば、議会も当局もお互い「知恵を絞り合う」こと、何のためにといえば、「市民福祉の増進のため」ということであり、競争という表現から浮かぶ「勝ち負け」ではなく、知恵を出し合ってよりよい政策を考えていこう、というものである。これは当然議会内における議員間の「善政競争」すなわち知恵の出し合いを前提とする。

議会内では「議員間討議」という合議により政策の集約が可能となるが、当局との機関競争といったとき、そこに機関相互の双方向的な「議論」ないし「対話」が当然必要となる。なぜなら、当局は議会の議決なくして政策執行ができない半面、議会は議決権はあっても執行権がないゆえ、どんなにいい政策でも当局による「執行」がなければ絵に描いた餅に終わってしまう。

機関競争とともに、重要なことは「機関相互のルールに則った協調」である。この視点が欠けると機関競争は不毛な「機関対立」に陥ってしまう。例えば、本会議で「議会を代表する質問」制度を設けるといった方策が考えられる。

市民との意見交換会を定着させ、市民意見を起点とした議会の政策サイクルを今後甲府市議会にも制度化する際に、この機関競争を実質ならしめる「機関協調」も制度化すべきである。密室の中ではなくオープンな場での議論を行って議会で考えぬいた政策を当局の執行によって実現する。まさに「議論を通じた合意形成」を行って当局、議会がお互いの機関特性を生かし、補い合いながら市民福祉の増進のために働いていく。これこそがまさに地方自治の本旨ではないか。

昨年の草津温泉 昨年の草津温泉