コロナウィルスに振り回されたこの1年。もうすぐ6月定例会だ。
昨年のコロナ対策集中審議の5月臨時会から6月定例会へとシームレスな対応を行った市議会最終日に第101代議長に就任し、公約に掲げた議会基本条例も現在パブリックコメント募集中で、6月制定に向け順調に推移している。
条例案は特別委員会で昨年9月以降議論を重ねて成案化したもので、基本的事項については議長意見として反映させていただいている。基本条例制定により、議長としての責務はおおむね果たしたと考えている。
基本条例の眼目は言うまでもなく、執行機関とともに総合計画で共有した10年後の都市像実現に向けた議事機関としての議会の機能の再確認と充実である。
その具体的内容として、現在先進議会で取り組んでいる「議会からの政策サイクル」の確立を目指している。条例の検討過程では危惧された通り、政策サイクルの概念についての誤解が少なからずあったため、本意ではなかったが方向を軌道修正するため、中途であえて口を挟ませていただいた。
我々議会は議事機関とされ、地方公共団体の団体意思を「決定する」権能を与えられている。端的に言えば、執行機関が市政執行のため条例や予算を策定しても、議会が議決を与えなければその執行はできない。それほど議会は市政執行を左右するほどの重大な権能を持っている。が、しかしこれまで甲府市議会においてもこうした議会の権能の重要性を意識した議論は残念ながらなかった。
多分「議会とは」というより根源的な議論をするだけの知見が議会内に存在しなかったことがその要因だろう。
議会からの政策サイクルといったときに、たいていが議会が政策を策定し、執行機関に提案して執行してもらう、というイメージを持ったに違いない。特に議会が立法機関であるという側面から、執行機関に対する議会の優位性を強調する論調に多く見られる。それは全くの間違いではないが、議会が政策を策定するだけの能力や資源はそれほど多くはなく、執行機関が策定する政策の方が圧倒的に多い。
議会にまず求められる権能の第一は言うまでもなく、執行機関の市政執行が適正であるか否かの監視である。市政執行の大部分が税を使った事業執行であるが故に、納税者である市民の側からは自分たちの納めた税金が正しく使われ、しかも効果があがったかどうかが第一の関心事だろう。その検証を議会に期待するのである。逆をいえば、市政執行の適正性を監視できない機関が政策提言など100年早いといわれるのがおちである。
政策サイクルといった場合の「政策」とは、議会が策定する政策だけでなく、執行機関が策定する「政策」もすべて含む。2元代表制を正確に理解するならば、執行機関(首長)と議会はともに地方公共団体の「機関」であり、それぞれが「住民福祉の増進」のために役割分担、すなわち首長は執行権、議会は議決権をもち、議会の議決がなければ首長の政策遂行はできないのであり、ここから首長策定の「政策」であっても議会は議決を通じてその執行に関与するから、その検証を行うのが「議会からの政策サイクル」ということである。
いってみれば、政策サイクルという場合の政策とは、その地方公共団体の政策というべきものである。「議会からの」というのは、議会が住民による選挙によって多様な民意を反映しており、主権者である市民の意見をより直接的に具体的に吸い上げることができるという点をとらえている。そうした多様な市民意見を議会が構成員である議員の徹底した議論を通じて合意形成、意見集約をはかるところに現代の民主主義の理想的なあり方を見出しうる。
政策の策定および遂行は、どの自治体も「総合計画」のなかで行われる。本市の場合、総合計画は基本構想と実施計画の2本立てとなっており、基本構想の中に実現すべき都市像を設定し、その実現のための政策の基本的な方向を基本構想で規定している。基本構想は議会の議決事項となっていることから、議会も都市像実現のための政策遂行に最初から関与し、責任の一端を担っている。
総合計画はその実施計画において都市像実現のための施策事業を定め、これに毎年予算をつけて計画的に執行されている。予算は毎年議会に提案され、議会の議決を得て初めて執行可能となり、1会計年度の執行の結果を毎年決算書類を調整して監査委員の意見を付して議会に提案されその認定を受ける制度となっている。決算審査によって浮かび上がった課題は翌年度以降の予算編成に反映させ、フィードバックしていく。政策サイクルの中心的部分がこれである。
こうした総合計画を基本に、毎年の予算、決算に議会は関与しているのであり、ここに議会の権能の重要性、重大性がある。だからこそ、議長公約で決算審査、予算審査のあり方を「成果」を意識した審査方法に改めようと主張したのである。そこで本市議会でも1昨年から実施している市民との意見交換会が審査の起点となるべき市民意見の把握のうえで重要となってくる。
6月議会での基本条例制定はゴールではなく、議会が市民の役に立っているという評価を得られるための機能の充実に向かうスタートラインである。むしろこれからが前途多難のように思える。