閉じる

議会基本条例始動(その2)

前回に引き続き議会運営委員会で検討・決定すべき残りの4項目についてである。

5 5点目として、条例第16条に規定する議会政策サイクルの議員必携への追加についてである。

委員改選前の議会運営委員会で条例第16条のサイクルについて議員必携に掲載すべし、との決定をしていたことを引き継ぎ、現委員会で検討することとされたものである。中心的なねらいは、議会の監視機能に加えて、市民意見を起点とした政策提言機能を充実させるため、その流れ図を議員必携に掲載し今後の議会活動に役立てようとする点にある。これについては、残念ながら議会政策サイクルのとらえ方に若干の課題があるため、今後引き続き検討することとした。

この点については補足的に説明をしておきたい。これまでの伝統的な議会観からは、議会は首長の行財政執行に対する「監視機能」が中心的に論じられてきた。そこに栗山町が議会基本条例を初めて制定し、議会の立法機能が注目され始めた。これまでの受動的な姿から条例や政策を生み出す能動的な姿へと議会観も進化してきた。

しかしながら、監視機能をおろそかにして立法機能や政策提言機能ばかりを強調するのは、かえって議会を矮小化することにつながりかねず、賛成できない。おそらく追認機関と揶揄されることへのアンチテーゼとしての政策提言機能、立法機能の主張だと思われるが、議案審査を通じた行財政執行をしっかりと監視できないような議会が立法機能、政策提言機能を果たせるとは到底思えない。

要は、地方自治体の行財政執行(政策遂行)はすべからく最上位計画である「総合計画」に基づくものであり、その策定には議会も関与している以上、その適正な執行監視は当然議会にとって最重要の機能である。時代の変化により、計画された政策の陳腐化も当然予想されるところであり、その検証と生じた課題の解決については、市民との意見交換会などにより常に市民意見によりリフレッシュされた議会が担うことが「住民自治」の観点から理にかなったあり方である。つまり、毎年の行財政の執行監視とともに、新たに生じたニーズへの対応や役割を果たし終えた事業などについて、市民意見を起点として議会が「提言」していく。「議会からの」政策サイクルは議会が政策執行に主体的に関与し、議会がサイクルを回す起点となるという意味だろう。こうした考え方を今後の議会運営を通じて正確に各議員に共有できた段階で議員必携に掲載し後世に残していくべきと考えたものである。

6 6点目として条例第18条第3項の決算審査特別委員会の運用のあり方についてである。

議会基本条例の一番の狙いは、議会が「市民福祉の向上を目指す」「合議制の」「機関」であることを明確化するところにある。その重要な制度が「議会政策サイクル」であり、総合計画に定める都市像実現に向けた政策執行について、市民意見に裏打ちされた議会が主体的に関与していくものである。

総合計画に基づく政策執行への具体的な関与としては、毎年の予算・決算が特に重要である。総合計画に定める施策事業は毎年の予算に計上され議会の議決を経て執行される。執行後は決算書を調整し監査委員の意見を付して議会に提出されその承認を受ける。決算審査は、議会が議決した予算が議決目的どおりに適正に執行され、なおかつ税金を投入して執行している以上それに見合った成果があったかどうか、を検証する重要な作業である。決算審査は実は議会政策サイクルの最重要な部分である。

条例制定により何を目指したかといえば、これまでの審査の方法が「議会として」の審査とはかけ離れた実態があったために、これを当たり前の形にしていこうということである。これまで繰り返し述べてきたように、およそ執行当局から提案される「議案」は議会という「機関」に提案されるものであり、その回答は議会として回答(議決)するものである。決して議員個人に提案されるものではない。

にもかかわらず、これまでの「審査」は、当局の案件説明のあと、委員が「質疑」と称して、個々バラバラに質問し最後に意見・要望を当局に述べる。これを繰り返して全委員が発言し終わると「質疑終結」を委員長が宣言して、いきなり採決となる。そこには委員同士での議案に対する意見交換は全くない。これでは「委員会としての」審査とは到底呼べないのではないか。議案に対して委員が個人個人で当局に要望を述べてもそれは委員会としての要望ではない。個人的な要望に過ぎなければ、仮に委員会の場での発言であっても対応を義務付けられることはない。長い間こんなやり方で「審査」と言ってきたことにいまさらながら忸怩たる思いである。

今回、会派持ち帰りで検討をお願いしたのは、①「質疑」は議案可否の判断に必要な範囲に限るものとし、意見・要望を行わないこと、②日程の中で付帯的な意見・要望等について委員間討議の時間を設けるの2点である。次回の議運で意見集約し、決定していく予定である。

7 7点目は、条例第18条第5項の委員会代表質問制度である。

これについては今後の委員会活動の中でそれぞれの常任委員会で実現に向けて取り組んでいくこととした。委員会からの質問ということになれば、前述の決算委員会の運用と同様、当局にとっても真摯な対応が求められていくこととなる。委員会の活性化にも資することとなると思われる。

8 8点目は、条例第18条第4項の委員会の所管事務調査報告制度である。

閉会中の委員会活動等により、各常任委員会が翌年の6月議会においてその成果を報告する制度である。これも委員会活動の活性化につながるものであり、9月定例会以降核委員会で取組みを行うこととした。

以上の8項目について5日の議会運営委員会で検討し、1項目について会派内の意見集約後に再度検討協議することとなった。いずれにしてもこうした取り組みを繰り返すことにより、中核市甲府にふさわしい新たな議会観を確立していきたいと考える。

保護猫と先住犬との共存 保護猫と先住犬との共存