令和4年7月13日~15日の日程で会派視察を実施した。視察先は、新潟県佐渡市、柏崎市、燕市の3市である。視察項目は、佐渡市がデジタル田園都市国家構想推進交付金を活用した地域活性化の取組み(移住定住の取組み)、柏崎市が引きこもり支援センター、燕市が自治体主導の企業間連携DX(燕版共有クラウド)である。会派として初めて訪れる自治体ばかりだが、いずれも先進的な取り組みとして注目されているところである。
初日の7月13日は、佐渡市を訪問した。新潟港を12:55発のジェットフォイルで佐渡島の両津港に14時過ぎに着岸し、その後議会事務局のある佐和田行政センター移動して視察項目について説明をいただいた。
今回最もお聞きしたかったのは、いかにして転入増を図っているのか、その具体的な取り組みについてである。都市部への人口流出はこれまでどの地方都市にとっての宿命的な課題であり、甲府市もその例にもれず、これまで若者世代を中心に東京圏への人口流出をいかに食い止めるかに腐心してきた。
6月定例会で言及したように、コロナ禍がライフスタイル、ビジネススタイルの変容をもたらし、「リモート」が一躍脚光を浴びたことにより、あえて都会にいなくても仕事ができることが明らかとなった。その結果、これまで人口の供給源の地位に追いやられてきた地方にとって、人財を奪い返す千載一遇のチャンス、ととらえることが可能となった。こうした、人口の社会増減に着目することで新たな取り込みの方向性が見えてくる。今回の佐渡市の視察はまさにこの観点から大いに示唆を受けることとなった。
佐渡市は明確に「定住」を見据えた取り組みを展開している。コロナ禍以前は、移住定住はハードルが高く、かといって交流人口は一過性に終わることが多い。故に交流人口以上定住人口未満といわれる「関係人口」の創出が注目を浴び、そのメルクマールとしてのふるさと納税に力がそそがれてきた。
しかしながら、地域づくりという視点から人口概念をとらえた場合、「担い手」をいかに確保するか、が根本的な課題であり、特に持続可能な社会という観点からは、担い手としてしっかりと定着することが何よりも求められる。
こうした課題解決のための現実的な方途を考えた場合、地域への定着がますます求められ、したがって定住人口をいかに増やすかに帰着する。この点には大いに共感する。
具体的な取り組みとして2点を伺った。
(1)第一は、起業成功率№「1」の島を目指す。
いうまでもなく定着するためには、収入を確保することが第一条件であり、既存の企業等で雇用が確保できれば何のことはないが、よく言われるように若者がUターンしたくても「働く場所」がない、という課題解決のためには、「起業」も一つの選択肢である。企業誘致も地方ではよく俎上に上るが、用地確保やインフラ整備など大規模な誘致は依然ハードルが高いことは否めない。
ICTの飛躍的進歩により、現代ではパソコンとWi-Fi環境があればそれほど広いスペースを必要としないベンチャー企業が多く誕生している。
佐渡市はこの点に着目し、地方創生テレワーク交付金を活用して、シェアオフィスやインキュベーションセンターの整備を行うとともに、ベンチャー企業を対象とした「ビジネスコンテスト」を開催し、誘致活動の強化を目指している。多くの企業が誕生し地域に定着すれば、新たな人材を呼び込むことができ好循環を生み出す。
(2)第二は、人口の社会減「0」を目指す。
そのために、佐渡UIターンサポートセンターとの連携強化、離島活性化交付金を活用とした「お試し住宅」の整備、空き家コーディネーターの育成と空き家利活用体制の構築などを行い、気軽に、相談・体験・移住ができる「移住の島」を目指す。
佐渡市の起業の取組みは言うまでもなくコロナ以前からはじまっており、特に2015年からはNEXT佐渡という市内の若手経営者のグループと連携して進めてきたことにより、創業・誘致件数が20件にも上っている。まちづくりの成功要因である「若者・ばか者・よそ者」のとおり、若い世代が大きな原動力となっていることに注目する。こうした取り組みが佐渡を選び取ることにつながっていることを実感する。古民家をリノベーションしたオフィスとインキュベーションセンターを見せてもらったが、まさに現代の企業の一つのあり方をそのまま投影しており、大いに参考となった。