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6月定例会代表質問(2)

代表質問の2問目は、初当選以来何とかしたい、とずっと取り組んできた「若者が戻ってきたいと思うようなまちづくり」についてである。

地方創生が生まれた背景には、大都市圏への人口の流出と逆に地方への人の流れの衰退がある。山梨にとっては東京一極集中であり、せっかく高校まで育て上げた若者を進学等で東京にとられ、戻ってきてもらえないまま、長い間人材の供給源に追いやられてきた。

全国の地方都市も同様の悲哀を味わい、結局担い手が次第に減少していくことにより、象徴としての現象が「中心市街地の衰退」「シャッター街の増加」「空き家の増加」などである。

この負の流れをとめるには何をすべきか。初当選以来4期16年このことをずっと考えてきた。質問では、自分自身の高校から大学、そして事情があってUターン、というこれまでの来し方を語りながら、若者が帰ってくるための課題を考え、その解決のために取り組むべき施策を3点取り上げた。すでにこれまで取組み、提言してきた事項を改めて整理して提示したものである。

今回、自分自身のストーリーを語るという手法をとったが、これは言うまでもなくポール・スミス氏の「リーダーはストーリーを語りなさい」という著作から示唆を受けたものである。単に説明を聞いているだけだと、心に響かない。テーマに沿ったトピックは必ずあり、これをストーリーに仕立てることによって聞き手を引き込む、といった狙いがある。

山梨の片田舎から大学進学のため東京で一人暮らしを始める18歳の若者にとって、東京はこれまでの世界観を180度変えてしまうほどの魅力のある空間だった。東京の郊外に住んでいてものの30分で「都会」にアクセスできる。しかも24時間眠らない、街のビートが心地よく響いてくる、その中で世間知らずの若者は自分がその中心にいると感じ、未来は希望に満ちていると錯覚してしまう。

やがて学生生活に終わりを告げる時がやってきて、人生の大きな選択をしなければならない現実に引き戻される。その時に、故郷に帰るという選択肢は特別の事情がなければまずない。帰らなければならない特別の事情がない限り、帰ったところで自分の身の置き場所がまず考えられない。最大のネックは自分に見合った「働く場所」である。当時はあまりにも選択肢がなさすぎた。

また、ふるさとへの強烈な帰属意識よりも東京の魅力のほうがはるかに上回っていた。どうせ「何もない」だろう。これが当時の偽らざる心情であり、自ら帰りたいと思ったことは残念ながらなかった。

自らの自発的な選択ではなく戻ってきたが、今こうして甲府に40年近くお世話になって次第に芽生えてくる帰属意識と持って生まれた負けず嫌いの性分から、自分が今いる場所が一番であるべき、という思いが強くなっている。この思いから、「若者が戻ってきたいと思うようなまちづくり」をしていこうというのが出発である。

自分自身の先ほどのストーリーから、やるべきこととして、(1)ふるさとへの愛着心(ふるさと愛)の醸成、(2)働く場所の確保、(3)都会から戻る先として甲府が選ばれるための魅力の磨き上げ、を指摘した。

(1)については、私の主張が次第に市民権を得てきたような感があり、市長も「甲府愛」といった表現で肯定的に使っている。戻る先を選ぶ際に、このふるさと愛こそがその大きな原動力となることは異論がないだろう。

(2)の働く場所については、いい企業が知られずに埋もれている可能性もあり、「マッチング」の充実も必要だし、市では、中心街への出店の後押しやスタートアップ企業への支援など、「挑戦」へのサポートも考えているという。

(3)についても観光地の高付加価値化、舞鶴城南側整備や動物園の再整備、そしてその間の回遊性の促進など、これまで私も提言した内容も取り入れながら、魅力の更なる磨き上げを考えているという。

この2問目は自分史の中でも特筆すべき質問ととらえている。次回は3問目「思いやりあふれる社会の実現について」である。

(‘我が家に立ち寄る地域猫           我が家に立ち寄る地域猫