GT-WKGRG6B7
閉じる

政策サイクル推進地方議会フォーラム公開セミナー

2月4日午後1時から全国町村会館で開催された公開セミナーに参加した。

標題は「ミライの議員・議会のために」~住民福祉の向上と地方議会の政策サイクル~ である。

政策サイクル推進地方議会フォーラムは、公益財団法人日本生産性本部が所管する地方議会改革プロジェクトが事務局となって立ち上げた組織であり、議会の機能を「政策サイクルの確立」という側面で捉えなおして、2元代表制の地方制度における地方議会の役割の重要性を一層確かなものとするために、議会改革に取り組む全国の地方議員有志が参加している。

私も縁あって地方議会改革プロジェクトに入れていただき、その大きな成果である「地方議会成熟度評価モデル」の研究に参加させていただいた。議会改革を文字通り実効あらしめるものとするうえで、この成熟度評価モデルは優れて指針となるものである。現在生産性本部でそのガイドブックが刊行されており、議会改革を始めたい議会、アップグレードを考えている議会にはぜひおすすめしたい。

さて、この日のセミナーは、江藤俊昭大正大学教授の「ミライを展望した地方議会の政策サイクル」、大杉覚東京都立大学教授の「コミュニティ自治とミライの議会」の2本の講演のあと、林兵庫県西脇市議会前議長の実践報告「議会は住民自治のプラットフォーム」を拝聴した。

標題にある「ミライの議員・議会のために」の意図するところは、オープニングのセミナーの主旨説明にあったように、現在主流となっている「バックキャスト的な考え方」から、未来のために今何をすべきか、を議論しようというものである。

この考え方は、目標をこれまでの抽象的希望的なものから、「必ず実現するもの、しなくてはいけないもの」という強い意志に変えていくものであり、そこから、今すべきことを責任もって成し遂げていくという考え方である。こうした考え方に転換していくことは、結果に対する責任意識をより明確にする効果があり、常に現在の取組みに対する緊張感をもたらす。

政策サイクルの考え方は、甲府市議会基本条例にも規定され、執行機関の行財政執行に正当性を与える議決機関としての議会の重要な機能を明確化したものである。この場合の「政策」は自治体の最上位計画である「総合計画」に淵源を持つ。総合計画はその策定にあたって議会の議決を経ていることから、議会も総合計画に基づく政策執行の一翼を担っている。と同時に、個々の政策実行の具体的な形である、条例や事業予算はすべて議会の議決を要することから、議会が地方経営にとっていかに重要な機関であるかがわかる。これまでは残念ながらこうした「機関としての」議会の重要性が意識されて来なかったため、議会不要論や議員不要論などに翻弄されてきたという悲しい歴史がある。

自治体にとって政策実行はすべて住民福祉の向上に向けられる。住民福祉の向上に効果がさほど認められないときは、その解決策を考え、政策の修正を行っていく。政策立案→政策実行→課題検証→修正、フィードバックというサイクルが政策サイクルの中身である。これを担うのは議決機関である議会の大きな役割であり、そのために議会は、議会報告会や意見交換会により常に住民意見を伺いながら、政策がはたしてカスタマーである住民に正しく届いているかを検証しなければならない。最近の議会が「住民に開かれた議会」とか「住民とともに歩む議会」を標榜するのはこうした背景がある。
こうした状況をとらえて江藤教授をはじめとする全国の地方議会の改革の理論的支柱となっている識者からは、地方議会は「住民自治の根幹」をなすと指摘されているとおりである。

そして重要なことは、住民自治の根幹をなす重要な議会は、なにより「討議する空間」であり、多様な主体による真摯な議論とその結果としての合意形成が重要であり、これまで繰り返し主張してきた、市民意見からの課題の気づき、課題解決のための議員同士の議論、合意形成に向けた落としどころの発見の努力など、これまでの議会観を打破したパラダイムの転換が益々必要になってくる。

生産性本部のセミナーはいつも新たな視点を提供してくれるため、非常に有益な機会である。これらを甲府市議会に今後還元していかなければならない。

最近のコメント

表示できるコメントはありません。