11月1日甲府市議会臨時議会が招集され、訴訟提起についての議案他が提案され、即日閉会した。
このうち、訴訟提起についての議案は国家賠償法に基づき元職員の遺族から提訴された損害賠償請求事件について、市側の主張がことごとく排斥されたことから、高裁への控訴について地方自治法に基づく議決案件として提案されたもの。
我が国の司法制度は3審制がとられ、第二審までは事実審として、事実関係の争いができることとなっている。今回1審判決の判決文を詳細に精査した結果、周りにいた職員の支援努力がことごとく無視され、しかも職務拘束時間としてパソコンの開閉時間のみで判断されてしまったこと、プライベートな要因が考慮されず、パソコンの開閉時間が長時間にわたっていることから、過重職務と一方的に認定されてしまっていること、などを市側は指摘し、上級審の判断を仰ぐべきだとして、今回の控訴案件の議決を求めてきたものである。
我々の判断は、最終的に賠償金も税金が使われる以上、そのプロセスで疑義があるのであれば、制度上認められている2審までの事実審できっちり明らかにすべきだとして、控訴に賛成した。控訴審の結果をもって対応しても遅くない。むしろ納得のいく判断が得られるため、賛成した。
ただ、感情論に流された一部の議員たちによって、結局議案は否決され、市は控訴を断念した。議会が上訴審での反論の機会を一方的に奪う結果となってしまった。
我々は判決文を読んで、パワハラ等のない風通しのいい職場環境だったこと、周りの職員のサポート体制も確立されていたこと、本人に対して再三再四一緒に帰ろう等の声掛け等もなされていたことなどは全く考慮されていないことが分かったので、これは上級審の判断を仰ぐのが妥当と判断したのだが、これ以上裁判を長引かせるのはよくない、「新たな証拠」が出る可能性もなく控訴しても負けるのが目に見えている、一審敗訴の判決が出ているのだから直ちに控訴を断念して謝罪すべき、といった議員からの意見が相次ぎ、結局議案は11対20で否決された。
疑問が残るのは、パソコン開閉時間即、業務時間即、過重時間という因果関係の認定があまりにも雑な感じを受けること、過重労働時間が即不幸な結果につながったとされ、その間のメンタル面について業務のみが影響を与えたようにとらえらているが、はたしてそうだろうか、といった点である。県庁職員で超多忙な職務を経験したことのある私の経験からは、疑問が消えない。判決文から我々はこうした疑問を解決するために上級審の司法判断を仰ぐべきと主張した。
結局控訴の機会を奪われたことによって、こうした疑問は解消することが出来なくなった。懸命にかかわった職員の反論の機会も議会によって一方的に奪われてしまった。拙速にすぎないか、というのが我々の率直な感想である。
我々はもう一度上級審の判断を仰ぐべき、という通常の判断をしたのだが、押し切られてしまった。感情論に左右されて議会本来の役割を見失うことは避けるべきであったが、はたしてこれでよかったのだろうか。議決機関としての権限を越えた、執行権の侵害ではないのか。大きな疑問が生じている。