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地域包括ケアシステム

昨年の税と社会保障制度の一体改革法の成立を受け、社会保障制度改革についてはいわゆる国民会議が今夏報告書を取りまとめ、これに基づき先般の臨時国会に「社会保障制度改革プログラム法案」が提出され、可決成立したことは記憶に新しい。

同法案は、今後の社会保障制度の持続可能性を確保するための施策の「プログラム」を規定したものであり、具体的な施策実施については工程表に基づき順次法案化される。

社会保障制度の具体的場面は、年金、医療、介護、そして子育て支援の各分野である。このうち、年金、子育て支援については昨年度中に改革の内容がすでに決定済みであり、残る医療、介護の分野での改革の方向性もプログラム法案に示されている。

介護の分野で注目しているのは、団塊の世代が75歳以上となる2025年度を目途に、「地域包括ケアシステム」を構築するという点である。

これは高齢になっても可能な限り住み慣れた地域で生活を継続することができるような包括的な支援・サービス提供体制の構築を目指す(厚生労働省HPから →こちら)ものである。

厚労省の資料をみると、これまでの「自助・共助・公助」に加えて「互助」が新たに取り入れられている。地域での相互の支え合いをその内容とするが、「共助」と異なる点は、「費用負担が制度的に裏付けられていない自発的なもの」であり、ボランティアや住民による日常的な声掛け・見守りなど、インフォーマルな「サービス」が主である。

少子高齢化が加速し、また、核家族化や地域における人間関係の希薄化が一層進む現代において、「お互いに支え合う地域社会」の構築が必要、とこれまで主張してきたが、同システムはまさにこの支え合う社会の実現を目指すものとして歓迎したい。

しかしながら、課題は山積している。システムが団塊世代の大量移行による「担い手世代」の激減から、「右肩上がりの時代」と同様な介護保険や税の投入がもはや限界を超えるという問題意識を出発点とし、こうした高齢者の地域生活支援を実現するうえで「公的なコスト」がかからない、地域のインフォーマルな社会資源(おそらく伝統的に存在するコミュニティの力)にもう一度光を当てようとするものであることは明白である。

いってみれば、もともとコミュニティがもつ有益な機能を再度掘り起こすものであるが、そうなると今後「地域力」がシステム成功のカギを握ることとなる。逆の見方をすれば、「地域力」格差によって今後の地域でのケアの濃淡が決まってくる可能性がある。

都市部と非都市部では、コミュニティの強弱に差があり、非都市部でも地域活動の活発な地域であればシステム構築は比較的スムーズと期待されるが、あまり活発でない地域であれば、うまくシステムが構築できるか不安が残る。これは、地域の現状に普段から接している当事者の体感からである。

私がこれまで、「地域から甲府を元気に」という目標を掲げ、地域活動の現場に微力ながら身を置いているのも、地域活動による地域の課題解決能力を高め、その結果、コミュニティの「足腰が強くなる」と考えるからである。

地域包括ケアシステムの構築が成功するか否かは、いかにして平素から「地域力」を高めるかにかかっており、そのためには地域の「守備範囲」と公的な機関の「守備範囲」を明確にしたうえで、相互にその「守備範囲」を理解しあうことを一層進めるべきであり、公的部分への過度な「依存意識」を転換していく「難儀な」作業を地道に進めていく覚悟が求められる。

地域包括ケアシステムの構築を通じたお互いに支え合う社会の実現。それは、究極的には、社会の内に「多様性」を認識し、「差異を認め合う」寛容力ある社会の実現であり、特別な事業の実施によることなく、日常生活行動そのものによって実現が図られるべきものである。なぜなら、地域でともに暮らすということはお互いが当たり前の日常生活を送るということであり、それは「事業」でも何でもないからである。

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