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議会の役割

東京オリンピック招致の推進力となった猪瀬東京都知事がついに辞任を表明した。

昨年の都知事選前に「借用した」5千万円をめぐって、連日の都議会による追求に苦しい答弁を繰り返し、最終的にいわゆる「100条委員会」の設置を議会側が決定したことを受け、これ以上の都政の停滞を避けるため、辞任するとした。

100条委員会は、地方自治法第100条に基づく調査を行うため、特定の事件に関して設置されるもので、国政調査権と同様、関係人の出頭や証言等について罰則を規定することによって調査の実効性を担保しており、議会にとっていわば「伝家の宝刀」である。

我が国の首都である東京都においてこうした事態に至っていることに、都民はもちろん多くの国民もその推移を関心をもって見守ってきたところであり、委員会の設置に至ればこれまでのようなあいまいな答弁は出来なくなることが容易に推測されたところであるが、辞任という決断によって100条委員会の設置は回避された。

今回の経過をみたとき、改めて、国政と違い2元代表制を採用している地方議会の役割について再認識させられる。

それは、俗にいう与党的立場、野党的立場を超え、議会という「組織体」として一方の民意の代表者である知事と対峙していることである。議会の本来的な役割としての執行機関のチェック機能、これは個々の議員としてではなく、議会という組織体として発揮されるべき機能である。

世間的には、首長、議会それぞれが直接選挙で選ばれる地方制度にあっても、どういうわけか「与党」「野党」で議会内の勢力を色分けしているが、国の議院内閣制であれば衆議院で多数を占めた勢力が内閣を組織する点で、政権「与党」、「野党」という概念が生まれるのは首肯できるが、地方は首長、議会それぞれが別個に選挙で選ばれることから、本来、「与党」「野党」という概念にはなじまないものである。

この本質的な制度の相違を踏まえなければ、地方議会の役割を見誤る結果となりかねない。端的にいえば、首長も民意を背景としている一方、議会も直接民意を背負っているのである。

このように考えた場合、執行機関のチェック機能という議会本来の重要な機能を果たすためには、議会の権能を低下させるような安易な定数削減は考え直す必要がある。執行機関は首長以下、多数の職員が部局ごとに配置され、執行機関という組織体で見た場合、議会に対してはその人員、専門性などではるかに凌駕する。

行政運営は、時代や社会構造の変化、経済状況などによって、年々その事務は益々増加し、また多様化している。こうした中で議会が適切にチェック機能を果たすためには、「組織体」としての議会権能の充実強化を図る必要があるとともに、その構成員である個々の議員がこれまで以上に「議員力」を磨き、選んでいただいた市民の負託に応えきっていくことが必要である。

「議会改革」といったとき、その本来的な意義は、執行機関と対等に渡り合い、そのチェック機能を十分に果たしうるよう、また、執行機関が見落としがちな市民の「生活現場の声」を政策に高め提言しうるよう、議会の機能を充実することにある。このことを見誤ってはかえって市民にとってその声が届きにくくなり、不幸な結果となりかねない。

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