先の甲府市議会12月定例会に一つの請願が提出された。それは、県がすでに打ち出した「重度心身障害者医療費の窓口無料化廃止」の撤回を求める請願である。
この制度は、重度障害者にかかる医療費について、県と市町村が2分の1づつ負担するもので、当初はいったん窓口で支払った医療費について後日償還払いするという形で無料化を図っていたものを、中途から窓口での支払いをなくし、代わりに県と市町村から国保連合会等を通じて医療機関に直接支払うという内容に変えることにより、障害者の利便を図ってきたものである。
県ではすでにこの「窓口無料」制度を廃止し、これまでの償還払い方式に戻すことを決定した。ただ、所得が低く、窓口での支払い資金に窮する障害者のことも考慮し、無償貸し付け制度を導入することや、償還払い申請手続きの煩雑さを回避するため、償還金を指定口座に自動振り込みする「自動償還払い制度」を導入するなど、窓口無料廃止に伴う影響を緩和するための措置を講じるとしている。
県が窓口無料制度の廃止を決断するに至った大きな要因は、国の制度にないこうした「窓口無料制度」を導入することにより、国から国庫補助金等を減額されるという、いわゆる国からのペナルティーが多額に上ることにある。我が甲府市でも毎年1億円ものペナルティーが課せられ、他の施策実行に大きな「足かせ」をかせられている。
国がペナルティーを課する理由としてよくあげられるのは、窓口無料制度を導入している自治体は導入していない自治体に比べると医療費実績額が上回る現状があり、自治体間で不公平が生じているからとする。端的に言えば「受診しやすい」ことが大きな要因と考えられるということである。
甲府市においては、6月定例会で、①国のペナルティーが多額に上り他の福祉政策への財源配分に支障が生じること、②医療費の無料化自体は堅持していくこと、などから、窓口無料化廃止を受け入れ、必要となる電算システムの変更にかかる経費について補正予算が提出され、我が会派もこれにやむを得ず同調し、結果、窓口無料化廃止が実質的に議決された。
その後、今回の窓口無料化廃止の一番の要因となった国のペナルティー廃止を議会として求めるため、9月議会定例会で全会一致で意見書を議決し、国の関係機関に送付した。
今定例会で出された窓口無料化廃止の撤回を求める請願については、これまでの議会での審議状況と議決結果から、残念ながら採択というわけにはいかず、本会議で不採択となったわけである。
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(‘ そもそも、この問題の本質は、国が窓口無料化制度を導入している自治体に対してペナルティーを課していることにあり、県に対して制度の撤回を要求するというよりも、国に対してペナルティー廃止を要請するのが筋である。’, NULL, NULL, NULL, NULL),
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(‘ 財政基盤が弱い自治体にとって、ましてや社会保障経費が年々自然増する状況にあって、毎年数億円の単費を無条件で支出することは限界に近い。その分他の福祉施策に財源を振り向けることができるため、窓口無料化廃止はこうした事情を勘案すれば、やむを得ない選択である。’, NULL, NULL, NULL, NULL),
今後の方向とすれば、県が新たに導入する「無償貸し付け制度」「自動償還払い制度」について、障害者の立場に立って、きめの細かい運用を図るよう求めていくことにあると考える。
県内の各自治体議会にも同様の請願が提出されたようであるが、その対応は分かれているようだ。ただし、甲府市の場合はすでに6月議会で窓口無料化廃止が議決され、また9月議会で国に対するペナルティー廃止の意見書提出という対応がされている以上、今回の不採択という結果となった。
その根底には、国のペナルティー改善こそが問題の本質であるという一貫した考えがある。現実を直視すれば、相手は県ではなく、国であることがおのずと明確になっていると思うのだが。