2013年も残すところ1日となった。今年のトピックは何と言っても夏の参議院選挙だろう。ネット選挙運動が解禁となり、何かが変わることが期待されたが、多くの課題を残した。
県内に目を向けると、リニア中央新幹線の停車駅が甲府市大津町に正式に決定し、いよいよ開業に向けて具体的な動きが今後益々加速することが予想される。加えて、富士山の世界文化遺産登録の決定、2020年の東京オリンピックの決定など、国内外からの訪問客が飛躍的に増大することが期待されている。
特に、リニアの開業時期が明確に決定されたことを受け、一昨年の12月議会でストロー現象を打ち破る魅力あるまちづくりを、と専門部署の設置を提言し、昨年4月から提言どおり部署が新設され具体的な対応が始まってから今日に至るまで、その方向性を注視してきた。
依然として、議論が中心市街地の活性化中心となっているという印象が強いが、昨年タウンレビュー会議の議論もはじまってからは、まちづくりに対する行政の支援の在り方を見直す動きが出てきたことは歓迎すべきことである。
しかしどういう方向を目指すのか、という点については残念ながら中心市街地の議論からは明確に伝わってこない感がある。誰のために、何のために、どういうまちづくりをしてどこへ向かっていくのか。リニアが出来ることによって、おそらく期待しているのは「市外からの誘客」、すなわち交流人口の増加であろうことはおぼろげながら推測される。
だが例えば、我々が県外の友人に、甲府はこういうところだ、と端的にお誘いするときに、はたと困惑することが多々あるのではないか?これからのキーワードが「おもてなし」にあるとしたら、何をもって県外からの客をおもてなししたらいいか。本来これがまちづくりの中心課題に据えられなければならない。
今年の3月議会の予算特別委員会であえて中心市街地活性化について取り上げ、活性化計画を延長してなぜ再び公共財を集中投資しようとしているのかとベーシックな質問を投げかけた。説得力ある理念に基づいて計画延長を考えなければ、市内の他地域からは「タックスペイヤーのシニカルな批判の目にさらされる」とまで言い切って答えを期待した。
当局の答弁は中心市街地活性化は県都としての顔であり、その印象が市全体の評価を左右するという観点から必要性を認識しているという内容であった。私自身もその必要性を否定するものではない。県庁所在地のその中心的地域が活況を呈することが市域全体へ及ぼすプラス効果は容易に想像がつく。
だが再度立ち止まって熟考したい。まちづくりに不可欠な要素というものを。往々にして建造物をつくり、道路を整備し街並みを整え、究極にはシンボルを建造する、これがこれまでの伝統的な手法だったような気がする。そしてまだ議論の中心はいわば物理的な側面での「構造物整備」にとらわれていないだろうか。
そこに甲府らしさを端的に表現すること、例えば伝統的なジュエリー、葡萄、ワインその他の地場産業をどう組み入れるのか。また、城下町の歴史に着目して甲府の歴史・文化も取り入れたまちづくりも主張されているが、どの時点の歴史を甲府の代表的な歴史にするか。「ハード」の面からだけでも論点は多岐にわたる。
見落としてはならない視点はキーワードが「おもてなし」であるとするならば、おもてなしを「提供する側」である我々甲府市民が、「これが甲府市だ」とアイデンティティを感じ、しかも誇りをもって県外の友人に勧められる、そんな中心市街地であることが必要である。
そのためには、中心街に「おもてなし」を提供する場は最低限必要ではなかろうか。すなわち人と人が「交流できる場」である。施設だけつくってあとは勝手に見ていってください、的な空間に再び足を運ぶだろうか。見学のために訪れる客が多いとしたら、よっぽど魅力がなければリピーターにならないだろう。なぜなら、全国には様々魅力あるところが多数あるだろうし、その競争相手をはねのけて甲府に足を運ばせるためには、甲府にしかないものを「見せる」しかないからである。
これまで何度も訴えてきたが、「人の営み」を度外視したまちづくりは結局思うようにいかないだろう。この人の営みをエンパワーしていくことを目標に置かなければ、これまでの行政計画が陥りがちな陥穽、すなわち、事業の遂行と「成果」の間のかい離が再び発生しかねない。
まちづくりの「目線」をどこに置くか。タックスペイヤーの視線は厳しく注がれている。