12日の3月定例会本会議。特定秘密保護法に係る請願が賛否が分かれたものの多数決で採択されたことを受けて、いよいよ市議会としての意見書案について採決されることとなった。
総務委員会副委員長が提案者となり、賛成者は総務委員会で採択賛成に回った議員が名を連ねている。まず提案者が登壇し、提案理由の説明を行った。
提案者の心中はどうだったろう?推測するに内心びくびくでなかったろうか。質疑が出たらはたして明快に説明できるのだろうか?なんせ賛成者が名を連ねているといっても、提案の全責任は提案者が負うものだから、誰も助けてくれない。気の毒である。
案の定、質疑が出た。そのやりとりをみて、質疑をやめることとした。ここで提案者に対して1字1句根拠の説明を求めても、得るものがない。真に説明を求めたい相手は別にいる。ただここでも議員間討議システムがないため、直接の対決はできない。
採決の結果は、先の請願の採決とほぼ同様、退席者が出て、電光掲示板では賛成15、反対11であった。この時、甲府市議会として公文書で内閣総理大臣に意見書を出すことが決まった。ということは、自分もその意見書を出した「一員」とみなされるということか。
受け取った側は、甲府市議会でこんな賛否の激論があった事情など分からない。しかも内容がおかしい点だらけ、憶測だらけで、到底是認しうる理由づけがないこの意見書案である。どういう扱いをされるか、背筋が寒くなる。
すでに本会議が終わり、意見書案が今後字句の修正があるにせよ提出されることを議会で決定している以上、正式な議事録が世に出る前ではあるが、その内容の不備をここで細かく指摘してもとがめられないと思い、またかえって市民の「知る権利」に奉仕する責任があることから、以下紹介する。
意見書案はさすがに「安倍内閣は・・・暴挙に暴挙を重ね・・・」の部分は採用していないが、その他はほぼ請願の内容に沿ったものとなっている。既に請願の独善性についてはこれまで指摘した通りであるが、改めて意見書案に沿ってその不当性を記しておきたい。
(1)まず、「未遂、共謀、教唆、扇動も処罰の対象となるため、知人との会話といった日常的行為も制限を受ける可能性がある。」だって。よくよく考えてみよう。前段の部分は犯罪行為です。処罰するのは当たり前です。だけども、だからといって我々の日常的行為が制限されていますか?これでは、強盗やおれおれ詐欺が処罰の対象にされ、市民の日常的行為が制限されるから、強盗やおれおれ詐欺を処罰の対象としないでくれといっているようなものです。
(2)次に、続けて「秘密指定の期間が無制限になる可能性もあり、国民の知る権利が著しく侵害されることが懸念される。」だって。法律では、特に保全の必要性が高い暗号などの情報を除いて最長でも60年と定めています。期間無制限などとどこに書いてありますか?国民の知る権利をよく振りかざしますが、普通の国民が、漏れれば国の安全を揺るがしかねない重要機密を知りたいと思いますか?特定の意図を持った人だけでしょう、そんなに機密を欲しがるのは。
(3)その次が間髪入れずこれだ。「最大の問題点は、何が秘密かも秘密であるという点であり、指定される秘密が恣意的に拡大する恐れがある。」だって。この点は、第2弾で述べたとおりである。法律では具体的に秘密の種類を分野ごとに列挙しており、外部有識者を含めた機関で定めた指定の基準に従って指定されるとある。首が痛くなるほどかしげてもなお言っていることが分からない。
(4)次は思わず失笑してしまいそうな部分である。「国会議員、市民団体、報道関係者が処罰の対象になるほか、一般国民も対象者になるため、誰が、いつ、どんなことで同法違反容疑者になるかわからない。」だって。
はいはい、それでは犯罪と刑罰について少し教えてあげましょう。近代国家は「罪刑法定主義」といって、犯罪となる行為とこれに対する刑罰をあらかじめ法律で明示することによって、国民を恣意的な刑罰から守っています。法律で刑罰をもって禁止している行為をしなければ逮捕されないし、処罰されることはありません。
特定秘密保護法で犯罪行為と明示されている行為をしなければ処罰されません。「誰が、いつ、どんなことで同法違反容疑者になるかわからない」と言っていないで、わからなければ法律に書いてあるのでよく読むことを勧めます。今は平成の世、封建時代ではありません。普通の生活をしていれば、「同法違反容疑者」にはなりません。あくまで普通の生活をしていればですが。
(5)続きがこれです。「本人が特定秘密と知らないで書き込んだブログの内容が処罰の対象となることも懸念される。」です。本気でそう思っているのですか?法律の第何条に該当して処罰されるといっているのですか?明確な根拠を示してください。大体そんなブログを書く普通の市民がいます?「特定秘密と知らないで」ブログに書く?ありえないし、そもそも特定秘密の認識がなく、違法な手段で取得したものでない限り一般人が処罰されることはないというのが法律の趣旨です。こんなありえない想定を一所懸命考えているよりは、どうしたら市民生活の向上、甲府市の発展が実現できるか考えてた方がよっぽど世の中のためになると思います。
(6)まだ続くんです。「報道機関に関しては、取材が委縮して情報が国民に届かなくなることが懸念され、国民生活にとって重要な情報が隠蔽されることも考えられる。」だって。違法な方法による取材行為でない限り、通常の取材行為は「正当業務行為」として処罰されない旨法律に明記してあると、あれほど口を酸っぱくして教えたのに、まだこれですか?これほど取材の自由が保護されているのに、まだ「取材が委縮して」しまうのですか?そんなやわな報道機関がいるのでしたら、もはや報道機関の看板を下ろした方がいいと思いますが。これを報道機関の方が見たら、プライドをいたく傷つけられると思いますが、大丈夫ですか?)
(7)ようやく最後です。「この法律は総じて日本国憲法の理念及び条文に抵触することが懸念され、すでに100を超える地方議会が廃止や見直しを求める意見書を可決している。さらに、山梨県弁護士会でも反対しているなど、課題が多い法律であると、言わざるを得ない。」。これが法律の撤廃を求める理由付けとなるのでしょうか。
まず最初の「憲法の理念及び条文に抵触する」とあるが、具体的にどの理念、条文に抵触するのか全く不明である。続く100を超える地方議会が廃止や見直しを求め、さらに県弁護士会も反対しているから、とあるが、甲府市議会としての判断にどうして、よその議会がこうだからとか弁護士会がこういってるからとか持ち出してくる必要があるのか?よそが撤廃を求めているからうちも、というのは、議会としての自立性を自ら否定していませんか?
長くなってしまった。あれっ、これってほぼ全部じゃん。てことは、、、、うー、さぶっ。
これにて、本議会の特定秘密保護法の撤廃を求める請願の顛末の報告を終わります。7回にわたってお付き合いいただいたことを心から感謝いたします。今からは予算特別委員会の勉強をしっかり行って、市政発展のために全力投球します。