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大山自治会の視察

4月16日、地元の貢川団地の連合自治会とともに、立川市の大山団地にある大山自治会の取り組み状況を視察させていただいた。連合自治会の各自治会長さんと民生児童委員5名も同行したほか、いきいきサロンの運営責任者4名も一緒である。

大山自治会は、「市能工商」のまちづくりなどで何回かメディアにも登場し、佐藤さんという女性自治会長がリーダーとなっている。13日の自治会総会で佐藤さんは再び自治会長に選任された。

我々の視察の大きな目的は、団地という共同生活が基本となる自治会で、近年の人間関係の希薄化の中で、自治会加入率100%を維持している点であり、平成16年からはずっと「孤独死ゼロ」の状況を保っている点である。その取り組みがどういうものかは非常に興味深いものであり、多世帯が居住する貢川団地として今後の自治会運営の参考に出来ることが多いのではないか。

大山自治会は1600世帯約4000人が居住する都営大山団地内の自治会である。貢川団地のように敷地内に住居棟が集合するのではなく、街路によって区切られたエリアごとに住居棟が立ち並び、ひとつの「まち」が形成されている。

南隣には、国営昭和記念公園があり、また付近には立川基地跡もあり、住環境はかなりよい。また公園も2か所、幼稚園が1か所あり、かっては小学校もあった。集会室は4か所、ほかに今日説明会場となった会館のほか、自治会の事務所も設置されている。さながらミニ行政体のような印象を受けた。

さて、大山自治会の特色は何と言っても「人が人にやさしいまち、必要とされる自治会」「ゆりかごから墓場まで」を目指した地域づくりに取り組んでいる点であり、24時間対応の相談窓口の開設や皆でお見送りをする自治会葬に実施、見守りネットワークの強化など、自治会自体が「セーフティネット」としての役割を担っている点である。

もちろんリーダーの佐藤自治会長の個人的資質による部分が大きいが、そればかりでは必ずしもない。それぞれの目的に応じた組織がしっかりと整備され機能している点が特筆すべき点である。
自治会活動の基盤の部分で「市能工商」を掲げている。「市」は住民主体の自治会、「能」は能力、技術者の人材バンク、「工」は工夫、アイディアで企画運営、「商」はコミュニティビジネスで有効活用、といわば自治の理想形に近い方向性を打ち出している。

役員の選出については、現自治会長が初めてブロックごとの「区長制」を導入し、これには若い世代も就任しているほか、障がいを持った方も区長に就いているという。高齢者だからといって、また障がい者だからといって区長を引き受けないということはないそうであり、そこには「サポーター」がしっかりとバックアップする体制を敷いている。

非常時に備えて、全住民が名簿登録しており、高齢者の場合は民生委員との連携やいざという時の緊急連絡先も登録している。また所有車両の登録も行い、悪質な外部からの違法駐車対策にも力を入れる一方で団地内の有料駐車場も120台分整備している。

見守りネットワークとして注目されるのは、隣近所の見守りを強化している点である。新しい「向こう3軒両隣」という考えを取り入れ、実際上最も重要な近隣によるネットワークにスポットを当てている。また自治会費の集金、電気ガス水道、新聞などの企業との連携による安否確認などにも早くから取り組んでいる。こうした点がやはり異常の早期発見ということを考えた場合、非常に有効な手段である。

また自治会内には様々な技術を持った人や能力を持った人が存在しているがこれをバンク登録することにより、必要な事態が発生した時に大いに役立っているという。さらにコミュニティビジネスとして、団地内の有料駐車場や公園の清掃管理を受託し、高齢者を中心とした人材センターに業務を行ってもらうことにより「仕事の場」を与えることにも成功している。

大山自治会には多数のサークルが立ち上がっており、5人以上メンバーを集めて年間活動すれば自治会から助成を受けることが出来るため、大変活発に活動している。「生きがい対策」としても大いに効果があるようだ。
さらに、「ゆりかごから墓場まで」というスローガンのとおり、自治会葬も実施している点は非常に興味深い。そのきっかけとなったのは、住民から葬儀のための借金の相談があったことだという。団地内の集会場を利用して安価に葬儀ができるよう体制を整えたところ、大きな反響があった。これが安心してこの団地で最後を迎えられるという住民意識につながり、より一層このまちへの「帰属意識」が高まったものと推察される。

自治会の各種イベントなどでも、専門部長が中心となるものの、実働は会員からスタッフを募集し運営にあたってもらうことにより役員の負担を軽減し、特に一大イベントである運動会には、協議に参加できない代わりに、もれなく参加賞がもらえるとあって、応募者が殺到しているそうである。

こうしたいろいろな「インセンティブ」をうまく使いながら、とかく義務感に襲われがちな自治会活動に「楽しさ」を取り入れる工夫をしている点に、住民も役員に就任することに抵抗感があまりないという会長さんの言葉もうなずける。
月1回の自治会の定例会も出席率100%といい、そこでの情報収集と意見交換は各区長さんにとっても貴重な場であるようだ。区の中での課題についても意見交換の中で解決の糸口がつかめることが多いという。
こうした取り組みが、大山団地への入居希望者が競争率14倍という数字となって現れ、特にコミュニティ活動を楽しみながらのセーフティネットの役割に大きな期待が寄せられているものといえる。だから傍観者ではなく「プレーヤー」が次々と現れるのではないだろうか。

この大山自治会の取り組みがそのまま我々の地域で通用するとはにわかには思われないが、建物の建て替えによる住環境の向上への満足で終わっていない点は重要である。環境を生かすも殺すも住んでいる住民次第であり、「住んでよかった」と思えるまちにするための「人の営み」こそが重要だということを改めて認識した。

そこには、このまちが好きだからという自治会の皆さんの熱い思いが凝縮されている。だから自治会加入率100%なのであり、孤独死ゼロなのだと納得した研修である。
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