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老人漂流社会への危惧

現在、各地で地域包括ケアシステム構築に向けた議論が進んでいる。

本市でも、先の3月定例議会でその方向性について当局の見解をただしたところ、すでに関係機関に対して制度内容について説明し、今後具体的なシステム構築に向けたさらなる連携を図っていくとされている。
地域包括ケアシステムは、2025年問題の克服に向け、国を挙げて取り組む重要課題であり、住み慣れた地域での高齢者の生活を支えていくため、医療・介護・住まいなどの資源の連携を強化していくものである。

例えば、これまで在宅で何とか生活を維持してきた高齢者が病気で入院した場合、急性期を過ぎれば退院という段取りとなるが、おそらく入院によるADLの低下から退院後には介護サービスによる日常生活支援が必須となる。そのため、退院後の高齢者の地域生活への復帰がスムーズに行えるよう、医療・介護の連携は最低限必須条件である。
ただし、これは、あくまでも退院後在宅復帰が可能な高齢者の場合である。例えば、老々世帯や高齢者単独世帯の場合、要介護状態で在宅復帰ということが困難な事例が多い。介護する側も高齢の場合、要介護4とか5といった常時介護を要する高齢者を自宅で介護することは到底困難である。

ましてや、単独世帯の場合は、いくら住み慣れた地域で、といっても現実日常生活を維持することは無理だろう。
そこで、退院後の行き先として、老人保健施設とか、あるいは療養型ベッドがある病院、さらには特別養護老人ホームなどの資源に頼らざるを得ない。

しかし、特別養護老人ホームは満床状態で最低でも2~3年の入居待ちとなっており、いきおい老人保健施設や他病院、またショートステイなどの「一時的な」施設に行かざるを得ない。が、通常短期間で退去しなくてはならず、その後は似たような施設を転々とするケースが多い。

病気やけががきっかけで、最後は自宅には戻れず、施設を転々とせざるを得なくなる。かって、NHKで取り上げた「老人漂流社会」がこれである。病院や施設をあてもなくいわば「漂流」する。地域包括ケアシステムを構築する際避けて通れない大きな課題である。

最近ではいわゆるサ高住、すなわちケア付き高齢者住宅がぼちぼち整備されようとしているが、所得等の点でまだまだ敷居が高いと感じている高齢者も多い。
こうしたことを考えると、いかにして要介護状態に陥ることを予防するか、が益々重要になってくる。住み慣れた地域で地域生活を継続していくためには、加齢による身体機能のある程度の低下は避けられないとしても、一気に要介護状態に陥ることは極力回避したい。

そのためには、これまで以上に地域とのかかわりを深める中で、孤立化を防ぎ、生きがいを持ち続けながら暮らしていくという、これまで何度も確認されてきた方向性にもう一度立ち返ることが必要である。
「予防」という考え方は公共インフラだけではない。今後急スピードで進展する超高齢社会での重要なキーワードになる。

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