2月25日から開かれてきた甲府市議会3月定例会は、3月19日に提出案件全てを議決して閉会した。
今任期最後の議会であると同時に、樋口新市長の就任後初めての議会であった。
昨年6月からの総務委員会委員長としての最後の議会でもある。いろいろな意味で記憶に残る議会であったように思う。
委員長就任以来、常に心掛けてきたことは、十分な議論を経て「委員会として」の一定の合意点を導き出すということである。
そのために、それぞれの委員の自由な議論のための土壌を整えることに心を砕いてきた。「議論を通じた合意形成」。これがこれからの政治の場で最も求められる理念と考えているからである。
ものの考え方が多様化し、それぞれの議員がそれぞれの民意を背景に選挙で選ばれている以上、意見の多様性はむしろ当然のことである。
少数意見の尊重を、とよく言われてきた。これは決して少数意見を丸呑みせよということではない。
意見の多様性を前提とし、「多様性への寛容性」という観点から、それぞれの立場からの徹底した議論を通じ、お互いが譲歩しながら「着地点」を見出していく。これこそが民主主義の神髄であり、「議論を通じた合意形成」という理念である。
その象徴的な事例が、市立甲府病院の放射性医薬品の過剰投与問題に関して被害者家族の会から提出された早期解決の請願の処理である。
この請願は、昨年12月議会に提出され、一旦継続審査となった。提出前に会の方から請願提出について相談があり、案文を拝見したが、一見して多くの難点があり、そのことを率直に指摘し大幅に修正をして提出していただいたが、一部議員から難色を示され、結果継続審査となったものである。
その際、一部の委員から議会閉会中に請願者から参考人として意見を聞く機会を設けるべきだという意見が出され、委員長判断でこれを了承し、2月にその機会を設けた。
会の方からは3名の代表が出席し、家族の心情を率直に語っていただき、委員からの質疑も受けていただいた。中には実際厳しい質疑もあった。状況から見て、そのまま採択されるのは非常に厳しいことが明らかだった。
終了後、議長のもとで主要会派の代表と私で意見交換を行った。その際、私からは、3月議会で何らかの結論を出さなければ議会の役割を問われかねない旨を強く主張した。
あわせて、この問題がなぜ起こったかをもう一度考えるべきであり、家族側には何の落ち度もないはずであると迫った。その結果、これなら全会一致でいける、という譲歩案を引き出すことに成功した。
家族側にその状況を説明し、何とか若干の修正を加えた請願を出しなおすことで納得していただき、その結果、今議会で全会一致での採択が実現したものである。
お互いが自己主張を繰り返すだけでは、一歩も前進しない。「多様性」という観点からは、それぞれの主張はそれぞれ論拠があり、どちらが「正しい」といったディベート的な考えは合議体においては、弊害ばかり多く、メリットは少ない。
先に「多様性への寛容性」と言ったのは、お互いの主張を認め合い、議論し合い、そのうえで合意点を見出す努力のことを指している。
議会ではこうした努力が行われていることを是非知っておいて欲しい。そのための「バランサー(バランスをとる役割を担う人)」平たくいえば調整力をもつ議会人がこれからますます求められるだろう。