12月議会開会中の12月8日、地元ローカル紙に甲府駅北口天井ガラスのひび割れを2か月間公表せず、という記事が載った。ご丁寧に1面トップと社会面にダブル掲載という念の入りようである。
記事の取り上げ方から事情を知らない者から見れば、さも重大事が発生し、市の重大な過失があったかのような錯覚を抱かせるに十分なほど煽る内容となっている。
2月の庁舎窓枠落下問題の際の対応を持ち出し、しかも「憤っている」という利用者の声を巧みに織り込み、事実を意図的に隠ぺいしたような印象を与えている。
(‘翌9日の同紙は、社会面にその追跡記事を載せた。安全だと分かっていても、その事実と対策を講じていることを周知すべきだった、との市長のコメントを載せ、ご丁寧に開会中の12月定例会本会議で取り上げる議員がいなかった、などと取り上げる価値も疑問符がつくうえ、議会の仕組みを全く理解していない無知な記事を掲載した。’
そのうえ、論説委員が「社説」で取り上げ、これでもかというほど印象づくりに躍起となっているかのような「報道姿勢」を見せている。よほど2月の窓枠落下を他社にスクープされたことがこたえたのかと思うほどである。
9日の本会議では、2人の議員が質問に入る前に、この件に触れたが、もちろん本会議での「質問-答弁」の類のものではなく、あくまで報道を受けて発した「個人的所感」の域を出ないものである。
10日付けの紙面では、社会面でこの2人の市議の発言を取り上げ、当局に対して危機管理指針への反映を求めた、という記事を掲載している。
だが、状況を当局からうかがう限り、ここまで執拗に大騒ぎするほどの内容なのかという感が強くなっている。以下、事実を検証してみる。
1 事案の内容は、甲府駅北口エスカレーターの屋根部分のガラスにひびが入っているのを10月上旬に市職員が発見し、直ちに現場確認を行った。地上14mという高所にあるガラス40枚のうち1枚にひびが入っていることを確認した。
このガラスは特殊樹脂製の中間膜でガラスを接着した合わせガラスであり、仮に強い衝撃で破壊されたとしても破片が飛び散らないほど安全性が高く、一般住宅でも「防犯ガラス」として採用されるほどの品質(CPマーク)が認定されている。
ただ、市では念のため防護ネットを設置し、安全対策を施した。
2 市では、「ガラスの取り替え」に早急に対応するため、緊急に工事発注を行った。ただし、特注品であるため、ガラス制作に2か月程度かかり、めどがたった11月下旬に関係機関に文書で工事を周知し、12月上旬に駅に工事予告看板を設置、12月7日夜から取り替え工事を行い、2日ほどで終了した。
3 工事内容は単にガラス1枚の取り替えであるが、14mの高所であるため、足場が巨大となり、さも大掛かりな工事のような印象を与えたようである。
事実の内容は以上の通りであり、新聞の内容は重要部分で事実を「意図的に」伝えていない感がある。
それは、このガラスの高性能な点を全く報じていないことである。ガラスメーカーが知ったらどういう反応をするだろうか?おそらく強く抗議するのではないか。
前述のとおり、ひびが入っても破片が飛び散らないことは実証済みであり、だからこそ天井ガラスとして採用された。つまり、破片が落下することはほとんどありえず、現に落下していない。そのうえ、防護ネットを張って万全の安全対策を講じている。
報道では、この点に全く触れておらず、あたかも落下しそうなのに防護ネットだけ張って放置したような書き方である。しかも公表しなかったことをことさらに責め立てている。
はたしてこのローカル紙の言うように公表するほどの事案なのか。ガラス1枚の交換だけである。しかも安全性能は保証済み、破片の飛散はない。
だが、一連の報道を見ると、ヒステリック、ファナティックなある面怖さを感じる。肝心な事実を覆い隠していたずらに市民不安をあおり、そのセンセーショナリズムによって歓心を買おうとするかのようだ。売らんかなの商業主義的すぎないか。
このローカル新聞に従えば、トイレのガラス交換もいちいち公表すべきとなりかねない。馬鹿げたあり方だ。
ガラスの交換は、通常の維持補修業務の一部である。ひび割れの発生から工事着手までのタイムラグはあるにせよ、その間は全く安全性に問題はない。これはヒアリングの結果の結論である。
議会の関係でも苦言を呈したい。
本会議が開かれていようが、こうした事案は常任委員会で調査審議すべき内容である。窓枠落下の際も同紙は同じことを言っていたが、議会は本会議で取り上げるもの、委員会で取り上げるもの、があり、いくら説明してもこの紙は理解しない。
9日の本会議一般質問で質問に入る前にこの件に触れた議員がいたが、報道に基づく発言と事実関係をしっかり把握したうえでの発言は現に峻別すべきだった。事実関係を把握せず、報道されたから発言するというのであれば、率直にいかがなものかと言わざるを得ない。
現に事実を知れば知るほどなぜ大騒ぎするのか不可解に思えてくる。だから、所管の常任委員会でしっかり事実関係を調査審議すべきと言っているのである。そうすれば、何が真実か明らかになるだろう。議会の役割はまさにそこにある。
いずれにしてもこうした事態を避けるために、公表の基準や方法等を定め見える化したほうがいい。そうすれば、変なネガティブキャンぺーンに巻き込まれることもなくなり、余計なエネルギーを使わなくて済む。
以上怒りを込めて、である。