甲府市議会では現在3つの研究会を昨年度立ち上げた。リニア中央新幹線調査研究会、中核市調査研究会、そして議会制度調査研究会である。
それぞれ「研究会」という名が付されているとおり、個別テーマに関する調査研究を目的としており、議論を通じて議会の活性化、議員の資質の向上に資するものとされている。
私はこのうち議会制度の調査研究会に所属している。現在の研究テーマは大規模災害時の議員の行動マニュアルづくりである。
大規模災害時には、市長をトップとする災害対策本部が設置され、情報と対応の一元管理の体制となる。議員についてはおそらく地域の一員としての行動が要請されると思われるが、一般には必ずしも周知されているわけではなく、例えば当局との連絡調整を依頼されたりして、無用の混乱を引き起こす恐れが多分にある。
2年前の大雪時には議員から対策本部に様々「ノイズ」が入ってその対応に追われ、本来の被災対応に支障が生じかねない事態があったのではないか、と推測される。あくまでも推測であるが。
こうした混乱を排し、災害対策本部による一元的対応に支障が生じないように、議員ひいては議会としての対応をマニュアル化して明示しようとするのが今回のテーマである。
このマニュアル策定は今年度中に行い、その後は議会制度そのものの調査研究を行う流れとなる。
北海道栗山町で初めて議会基本条例が制定されて今年で10年となる。これまで多くの自治体で同様に議会基本条例を制定している。
その目指すところはいずれも法律上は必ずしも十分に規定されているとはいえない議会という組織のあり方を定めることにより、「2元代表制」と呼ぶのにふさわしい議会へと脱皮するということにある。
これまでに何回かこのブログでも取り上げてきたが、一番の眼目は議会が単に議員という個人の集合体ではなく「組織」というオーガニゼーションであるにもかかわらず、現在の法体系が明確に規定しているわけではないということである。
例えば、代表的な議会の権能として「議案の議決」がある。首長には予算の調整、事業の執行などの権能が与えられているが、これらは議会の議決がなければ行使できない。
この議会の「議決」というのは、提案に対する議会という「組織の意思決定行為」である。個々の議員の賛成・反対の単純な集積ではない。当然のこととして、「議会内部で」様々議論し、意見を戦わせたうえで妥協点を見出し、最終的な態度決定としての議決行為がある。
これまでの法制度には、この議会内部での「議論を通じた意思決定」という規定はない。単に「議決」を規定しているだけである。
しかしながら、どんな団体でもあるいは会社などでも、重要な意思決定を行う場合は、構成員相互で意見を出し合い、議論したうえで決定を行っていくのが常識である。
このほかに、議会が何をしているのか分からないといった批判もよく耳にする。議会側でも議会中継とかネット配信、あるいは議会だよりなどで情報提供に務めているが、興味を引くところまではいっていないのだろうか。
近年では議会の権能として、①政策の「決定」、②行政執行の「監視」、③政策の「提案」、④住民意見の「集約」、の4つが期待されるという。
①と②は議決機関としての本来的な権能としてこれまでも理解されてきたものである。これに対して、③は国会同様地方議会も「立法機関」の側面(条例の制定改廃等)を持つところから、議会自体が多様な住民意見を背景に政策立案し提案していくことを期待するものである。④はその前提としての住民意見の集約である。
議員も首長とは別個に直接住民から選挙で選出されることから、当然のことながら議員一人ひとりが民意の受け皿となる。
本来議会という機関はこうした民意を背負っている議員同士が議論をして多様な民意を最終的に調整していく「言論の府」であることが予定されている。しかしながら、現実は議員同士が議論するシステムとはなっていない。
民意の集約は、先進議会では「議会報告会」という形で直接住民との対話集会を制度化している。議会報告会では、議会での議論の状況報告とともに、住民からの意見要望の聴取を行うのが通例である。
ともすれば、議員個人の活動、あるいは会派の活動という側面だけがクローズアップされがちであるが、「2元代表制」という制度を採用していることを正しく理解すれば、現行法制度が議会の「組織」としての側面についてほとんど規定していないことは片手落ちといわざるを得ない。
人口減少社会へ、そしてこれまでの右肩上がりの成長からの転換を余儀なくされる時代にあって、これまで以上に多様な民意を調整し、市民福祉の一層の増進、社会の持続的な発展のために議会が「組織」としての力をいかに発揮するかが問われる。
そのためには、時代にあった議会のあり方を我々自身が決めていく必要がある。智慧を絞る時がいよいよ来た。