7月11日、12日の2日間にわたって、東京の早稲田大学大隈講堂で「全国地方議会サミット2018」が開かれた。
主催はローカル・マニフェスト推進地方議員連盟であり、指導的立場にあるのが元三重県知事であり、マニフェスト選挙提唱者の北川正恭早稲田大学名誉教授である。
北川教授の熱い思いは「地方議会が2元代表制の真の機能を発揮することができれば、地方創生が必ず実現する」という基調講演に凝縮されている。第一日目は教授の獅子吼とも思えるこの講演からスタートした。
全国から1,000人を超える地方議員が大隈講堂に集結した姿は圧巻である。プログラムの内容は、その期待を裏切らない極めて濃密な内容である。
北川教授の基調講演の後は本来ならば野田総務大臣の講演が予定されていたが、国会のためピンチヒッターとして事務次官が急きょ大臣の講演内容をかわりにしゃべった。
続いて、元鳥取県知事、元総務大臣で早稲田大学教授の片山善博氏が「地方創生と地方議会の役割」と題して講演、次に大西一史熊本市長による「震災復興と地方創生」の講演のあと、北川教授のコーディネートで3者のディスカッションが行われた。
片山教授からは、知事時代の経験の上から地方議会が住民意見の集約という側面からの役割に期待するという発言があり、また大西市長からは、熊本大地震の際に地域の被災状況の情報が色々なチャンネルから発信され、かえって混乱したという経験から、住民代表である議員からの情報提供にルールを決めておく必要性に言及した。
大西市長の報告は、実際本市でも4年前の豪雪災害の際、議員から除雪の要望等が無秩序に寄せられた結果、その対応に追われて災害対策本部の業務に支障をきたした経験があり、非常時の議会のあり方を決めておく必要性を指摘するもので、この点は一昨年甲府市議会で要綱を定めたことが記憶に新しく、またいわゆるBCP(災害時の業務継続計画)を定めた大津市議会の先進性も思い起こされる。
3者のディスカッションから、災害時の議会のあり方について、「チーム議会」で被災住民の要望等に対応することが重要との認識で一致した。これが個々の議員だと例えば避難所に行っても選挙の際の票稼ぎのようにとらえられて、本音が引き出せない、という実情があるという。経験則からの指摘ゆえ非常に説得力がある。
4コマ目は、山梨学院大学の江藤教授から「地方創生時代に求められる議会力」と題しての「課題整理」があった。
教授は現在の問題状況として、①地方議会による地方創生(とりもなおさず住民自治)、②地方議会を取り巻く負の連鎖からの脱却を指摘し、そのための論点として
(1)住民自治の根幹としての議会を再確認すべき(2元代表制のもとでの真の機関競争の一方の主体である議会の 覚醒を要請する)
(2)その具体的側面として議会からの政策サイクルの創造と展開により首長との善政競争を促すこと。
(3)横たわる課題の共有。特に議会からの政策サイクルをいかなる形で評価するか、対住民との関係では最も論ずべき点であり、また政策サイクルを回すうえでの必須条件は議会内の端的に言えば議員同士の議論のぶつけ合いをルール化すること、さらに執行部との関係で言えば、議会が一つになることへの不安からくる「恐怖」を払しょくするため、住民福祉の向上という目的観を共有する「善政競争」であることを正しく理解させることである。
初日最後は東京都羽村市の議会事務局長と大津市の議会局次長によるディスカッションである。これまでも議会改革を語る際必ず指摘されるのが議会事務局の重要性である。
法律上は、議会事務局職員は議長が任命することになっており、議会がその政策機能を発揮するうえでは事務局の様々なサポートが不可欠であるにもかかわらず、期待された役割が必ずしも果たされていないことはしばしばいわれることである。
羽村市の局長さんは女性で自身も初の議会事務局。議会の実態に衝撃を受けたそうである。職員が「お手伝いさん」的に使われていたり、規則に即さない形の運営等の常態化など、出来るところから議長を説き伏せて改善を進めた。
大津の次長さんは有名な事務局職員である。大津市議会のミッションロードマップに深くかかわり、議員との良好なパートナーシップをうかがわせる。
国会議員と違って政策秘書を持てない地方議員にとって政策立案の専門的知見や法制の専門的知見が極めて必要であるにもかかわらず、その担保は全くない。自分の能力の限界もあり、そこで注目されるのが事務局職員である。
究極的には執行部からは独立した職員であることが望ましいが、現実は無理である。執行部局に戻ったときのことを考えると思い切り議会にのめり込むことに躊躇を覚えるだろう。なぜなら、議会は制度上執行機関と対峙する機関だからである。
初日は17時30分過ぎに終了。長丁場のように思えたが、我々の議会にとって今後の最大の課題である「議会の機関性」をいかに構築し、議員の意識をここに向かせるにはどうすればいいか、というテーマだけに時間があっという間に過ぎた感がある。