7月12日(木)午前9時30分から、昨日に引き続き地方議会サミット2018に参加した。本日の中心議題は、先進議会の事例発表である。
最初に、「地方創生をリードする議会へ」という表題のもと4人の議長から発表があった。
口火を切ったのは、いまや議会改革第2ステージと言われるほどの議会発の改革実践例の先頭を走る会津若松市の目黒議長からの「住民との対話から課題解決へ」と題する報告である。
議会改革の取り組みが「議会は何をしているか分からない」「議会は役に立っているのか」という不信に正面から向き合うための地方議会からの自己変革運動であるならば、現行の法制度上の地方自治分野における制度的な不備(ないし不明確性)を正しく認識し、「議会基本条例」などの自律的な制度により基盤整備を行ったうえで、さらに進んで議会の本来の使命である「住民福祉の増進」を実現するための方途を議会による地域課題の解決に見出す努力として示したのが会津若松市議会の取り組みである。
既に本ブログでも指摘させていただいたが、議会の機能としては、伝統的な行政チェック機能がまず思い浮かぶ。議会改革第2ステージと言われる現在では、最も強調されるのが、政策提言機能、住民意見集約機能であり、その裏打ちとしての議決(決定)機能である。
会津若松市では早くから、議会の使命が「市民福祉の増進」にあると気づき、より住民との濃密な関係をもつ議会が住民のための政策を実行させるために「住民との対話」を起点にしたことは優れた先見性を持つ。
地方政治が地域課題の解決を通じた住民福祉増進を目的としているならば、住民との対話を通じた課題発見を起点にこれを政策に高めていく「議会」の作業は伝統的な議会観を根底から覆す。おそらく、議会基本条例を制定した自治体全てがこのことに気付いているかと言うと必ずしもそうではないだろう。
この後登壇した、東京あきる野市議会の子籠議長は、議会広報の改革というアプローチから市民の議会への関心を高めることに成功した状況の報告を、愛知県犬山市議会のビアンキ議長は議会改革の本丸である「議員による自由討議」を通じた「委員会提言」の取り組み、最後に岐阜県可児市議会の川上議長から、特筆すべき「委員会代表質問」と議会からの政策サイクルについて報告があった。
いずれも、これまでの伝統的な議会イメージである「議員個人」から「組織体としての議会」という観点からの取り組みである。川上議長の言葉を借りれば、議員個人からの提言等が「点」に過ぎない限り、執行機関にとっては抗しやすいが、議会が束になって立ち向かうと執行機関は抗うことが困難になる。
だから住民福祉のために真に必要な政策は「個人戦」よりも議会という組織全体で対処することが住民にとってより利益になる。この点が何故議会改革を行って、議会が組織として機能できるような自律的制度の整備を行うかの大きな理由となる。
午後からは、女性議長4人によるパネルディスカッションがあった。「多様性ある議会に向けた実践と課題」と題して、女性ならではの視点からの議会の現状について報告された。
議員が多様な住民からの選挙で選ばれて議会を構成する以上、議会が多様なものの考えかた、また多様な個性を持つ事は当然である。
問題は、地方議会は国と違って2元代表制を採用し、議会の多数派といえども執行権はないゆえ、制度に期待されているのはこうした多様な考え方を「議論」によって調整し、「比較的妥当な結論」を導き出すことである。
ここに、合議制である議会に対する大きな期待と使命がある。住民にとって首長とは違って議会や議員に対しての方が要望しやすい、という話を伺ったことがある。個人的な見解だが、長い間の封建的支配制度からの脱却からまだ歴史が浅く、いまだに首長に対する「お上」意識がDNAとして残っているからではなかろうか。
議会がこれまでの市民からの半ば情報不足から生ずる幾多の誤解を払しょくし、その本来の役割、機能を存分に発揮するためには、わが甲府市においても、こうしたゼロベースからの議論の積み上げ、すなわち、議会の本来持っている4つの機能について再認識し、現状の法制度の不備を克服するための方途、そして何より、地方議会が2元代表制の機関たらしめている根源的な目的、すなわち住民福祉の増進のために執行機関と政策競争、善政競争をするアクティブな議会へとパラダイムを転換していく事がますます必要になっている。