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会派視察研修(2)~藤里町社会福祉協議会~

8月7日(火)視察研修2日目は、ひきこもり対策で全国的に有名な秋田県藤里町社会福祉協議会を訪問した。

同協議会の取り組みについては、メディアにも取り上げられ、現菊池会長も全国を飛び回って忙しい日々を送っていると伺っている。数年前にも本県で講演されたが、その時は残念ながら都合がつかず、聞きそびれてしまった。

ヒアリングは福祉の拠点「こみっと」の2階会議室で行われ、当初事務局長の菊地さんと生活支援員の市川さんから、地域福祉の可能性と題したレジュメに沿って説明をしていただいた。

今でこそ「藤里方式」として確立されている取り組みも原点は昭和55年から実施されている秋田県の「1人の不幸も見逃さない運動」というネットワーク活動という。

ひとりの要援護者に対して、地域のあらゆる社会資源を活用してかかわっていく事により、問題の発見と支援の提供を円滑に行う狙いがある。要援護者の地域生活を支えるシステムである。

本市でも小地域ネットワーク活動としてほぼ同様の取り組みが社協を中心に行われているが、ある面、地域のあらゆる資源が連携して、要援護者の異状を素早く察知するためのシステムといっても過言ではない。

要援護者を不幸な状態のまま取り残さないという理念はおそらく秋田県が長く抱える不幸な課題を何としても解決していこうという強い意思の表れだろう。

ここから藤里方式といわれる「藤里町トータルケア」が確立されている。

福祉ニーズを持つ方に寄り添う形でフォーマル・インフォーマルのサポートが連携しており、その起点はこうしたネットワークによる福祉ニーズのキャッチ機能である。

9月議会でも取り上げようと思うが、ケア体制を構築する一方でその体制をうまく稼働させるために、地域での要援護者の異状察知を担うのは誰か、を確立させておく必要がある。国はこれを「互助」として、地域に大きな期待を寄せているが、地域力を発揮するための人材を育てることの重要性はあまり騒がれない。

藤里方式は、福祉ニーズのキャッチを起点としたシステムを構築し、PDCAサイクルで回して「1人の不幸も見逃さない」ことを目指している点で優れたシステムである。どこまでも「要援護者のため」という目的観が明確になっている。

さて引きこもり対策を門田主任介護支援専門員から伺った。その第一声は少なからず衝撃だった。「皆さんが思い描いているほど引きこもりの方は不幸ではない」。「基本的に家が居心地がいいから家にいるだけで、実は彼らが困っているのではなくて、親御さんが困っているのです」。
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氏によると最初に引きこもり家庭を訪問した時に、チャイムを鳴らしたら「はあい」と言って普通に出てきたのが、引きこもり当事者だった。思わず面食らってしまった。おそらく「部屋にカギをかけて昼間から薄暗いなかで閉じこもっている」若者を想像していたに違いない。’

そこでなんとか家から一歩外に出させようと「どこか一緒に行きましょう」と思わず口走ってしまったが、冷静になって考えてみたら、行き場所がないことに気づいた。これがきっかけで福祉の拠点「こみっと」が誕生したそうである。

こみっとではいろいろなゲームやレクレーションを考えメニューとして用意していたにもかかわらず、人があまり集まってこない。

家庭訪問を繰り返す中である若者の一言ではっと気が付いたそうだ。それは、「自分に合った働く場所が欲しい」ということだったそうだ。ここでおそらく相手のニーズを聞き出さずに一方的なサービス提供に過ぎなかったとこれまでのやり方を反省したに違いない。

往々にしてサービスの提供側の自己満足に終わりがちなあり方に警鐘を発している。菊池会長さんからは、中途半端なかかわり方を絶対にしてはいけない、腹を括ってとことん寄り添うあり方を指導されたと言われている。

その結果、こみっとに就労支援の場をつくり、当初は引きこもり当事者のための場の提供だったのを発展(昇華)させ、今では地域の高齢者等にも提供している。さらに自立訓練のための施設、くまげら館を隣接地にオープンし、さらにきめ細かい支援の場を提供している。

こうした積み重ねによって、かって引きこもり当事者だった若者を一般就労に繋げることを実現したり、また若者から高齢者に至るまで希望する者を人材バンクとして登録し、雇用の場へのマッチングを社協として行っている。まさに「トータルな」取り組みである。

特に「雇用の創出」は地域づくり、地域おこしの世界でも重要な課題となっている。自分の足で立ち、自分の力で生きていく。足りない部分に支援を入れていく。藤里町社協が福祉でまちづくりと訴えてきたことは、今新たな展開で地方創生の面で一石を投じている。

突き詰めて考えていくと、地域という空間のなかで我々は生きている。そこには様々な人々、幼児から高齢者、また障害を抱えている方が普段の営みを行っている。その当たり前の暮らしをそこにいる方々の支え合いで可能にしていく。もはや福祉という目的だけのあり方ではなく、福祉をツールとした共生社会の実現、と言ったら言い過ぎだろうか。

藤里方式が更なる進化を遂げつつある。
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