8月8日(水)視察研修最終日は、福島県会津若松市議会の議会改革の取り組みを伺った。
同議会は本ブログでこれまでも取り上げ、また先進事例として多くの地方議会に名を知られた取り組みである。
その取り組みは、これまで議会が合議制の組織体であるということが必ずしも明確に意識されてきたとはいいがたい状況が、議会への市民の不信や無理解を助長した一つの要因ではないかということから出発して、議会が多様な市民の意見を集約し、政策として執行機関に提言することにより市民福祉の増進に寄与する、という「機関」としての役割を見出し、この点に「議会改革の第2ステージ」といわれるゆえんである。
特に、2元代表制という制度本来の目指す点を正確にとらえ、議員個人ではなく、機関として一つにまとまった時に、その提言は「議決権」を背景に執行機関に対して無視できない大きな影響力を持つ事を明らかにした功績は大きい。
会津若松市議会では、集約した市民意見から練り上げた政策はPDCAサイクルで回して実現を図っていくこととされ、そのため、「議会からの政策サイクル」という呼称が定着している。
(‘この仕組みの重要な要素は、政策の芽を見出すための「市民との意見交換会」、そこでいただいた意見から政策課題を見出す機関である「広報公聴委員会」、集約された政策課題を政策に練り上げるための「議員間の討議」システム、の3点である。
いずれも本市の制度にはないものである。が、議会が市民福祉の増進を目指して存在する機関であり、なおかつ執行機関とは別に選挙で選ばれるものである以上、独自にそのチャンネルを使って市民意見を把握し、その中から政策を見つけ出すことは本来求められる機能である。
こうした機能を稼働することなく、執行機関からの議案審査のみを担うといった「受動的な」役割しか果たさないとしたら、「執行機関の追認機関」といった批判にさらされることとなる。
もちろん議会には「執行権」や「予算提案権」はないが、代わりに「議決権」という大きな武器がある。個々の議員の「表決権」ではなく、機関の意思決定行為である「議決権」である。
この「議決権」に基づく「議決」を与えなければ、執行機関はいかなる予算や事業も執行できない。それほど重いものである。だから、議会が一つにまとまって行う政策提言は執行機関はもはや無視できない実現性大の政策となるのである。ただし、諸刃の剣になる危険性もある。議会に不穏な勢力がいて市民福祉という目的観を持たない場合である。
会津若松市議会も議会基本条例制定後に苦闘しながらここまで議会の本来の姿を世に知らしめた。議会改革の第2ステージの先頭を走る同市議会や、可児市議会、大津市議会などを見ると、議会はここまで市民福祉の増進のために働きぬいていると市民に対して発信している。
本市がこれから2元代表制を事実の上で示していこうとする場合、その仕組みを基本条例化することをまず考えていくべきである。議会のこうした政策提言機能を明確化するためには、構成が新たになっても仕組みが変わらないようにすべきであり、そのためには成文化が必須の条件と思われる。
いずれにしても甲府市議会が2元代表制本史に踏み出す時は今であり、今回の会津若松市議会での研修はその基礎的な部分を再確認するいい機会だったといえる。