10月10日から12日までの日程で甲府市議会総務委員会の行政視察が行われた。
今回は宮城県二本松市の防災・減災の取り組み、新潟市の新しいICTの活用、長野市の連携中枢都市圏構想について、それぞれ聞き取り調査を行った。
初日の10日は二本松市の防災・減災の取り組みについてである。
二本松市は福島市の南側に位置し、東は浪江町と隣接しており、平成17年12月に、4市町(二本松市、安達町、岩代町、東和町)が合併し、新二本松市が誕生した。
現在の人口は55,000人強、世帯数は20’, ‘000世帯弱という状況である。
これまで大きな災害に見舞われることなく推移してきたが、2011年の3月11日に東北地方を襲った東日本大震災は二本松市にも大きな影を落とした。
住宅は一部損壊まで含めると5,891件、このほか事業所や非住家が千軒近く被災し、また道路等も多くの個所で被害が発生した。
ライフライン関係では、電気が1週間程度停電、電話も5日間不通となった地域があり、水道も一部地域で2週間断水、特に燃料の供給が3月末まで途絶し、避難所の防寒対策が深刻化した。また、市内各地でガソリンの給油に長蛇の列となった。
これに加え、隣接の浪江町が原発事故により町外への避難指示が発令され、町長の要請により二本松市で直ちに3,300人の避難者を受け入れ、その他の市外からの避難者を合わせると約4,300人もの避難者が二本松市に避難した。
こうした東日本大震災の経験からいくつかの課題が浮かび上がった。
(1)庁舎の停電に対処するための非常用発電機が7時間しかもたない、(2)携帯電話の通信規制により被害状況の収集に支障があった、(3)業務継続計画(BCP)が未策定であったため、職員の勤務が長時間となった、(4)他自治体から多くの被災者が避難してきたことにより、避難所運営が大変であった、(5)そして何より、住民への効果的な連絡手段がなく、防災行政無線の整備の必要性が痛感された。
住民への避難情報等の伝達手段として、合併による新市誕生以来、防災行政無線の整備は喫緊の課題として意識されてきたが、岩代、東和の両町が合併前から防災行政無線(ただしアナログ方式)がある程度整備されていたのに比べ、安達町、二本松市は防災行政無線がなかった。
東日本大震災を契機に、全市での防災行政無線の新設・更新と室内での戸別受信機の導入が始まった。特に山間地域が多いため、出力の大きい「280MHz防災行政無線」を採用し、建物内部へも届きやすくし、また戸別受信機も安価で、情報伝達をきめ細かく出来るよう配慮した。
戸別受信機は3千円の自己負担を原則とし、低所得者や災害弱者については自己負担を免除している。
最近の記録的豪雨による水害や土砂災害が頻発している状況に鑑みれば、災害関連情報の伝達は自治体にとって大きな課題となっており、二本松市では豪雨の際防災行政無線が雨音にかき消されて聞き取りにくくなることに鑑み、室内へも電波が届く強出力の無線を導入するとともに、戸別受信機の普及による全ての市民へ情報が届くシステムの整備に注力している。
わが市でも、屋内では防災行政無線が聞き取りにくいこと、特に大雨の際には雨音にかき消されてしまうことなど市民からは改善を望む声が根強く、特に山間地では、電波が届きにくいため、戸別受信機は非常に参考となる。
最近では避難情報等は早め早めに発布されるが、一つは正確に個々の市民に届くこと、また情報が地域の避難行動に迅速に結びつくこと、そのためにも防災行政無線の役割がますます大きくなっている。二本松市の取組は東日本大震災を至近距離で直に体験した中での課題意識であることから、大きな説得力がある。
本市でも、防災行政無線を中心とした災害情報等の円滑な伝達は大きな課題であり、特に北部・南部の中山間地域については命綱となる情報が円滑に受信できるような環境整備に今後も取り組む必要がある。改めて、本市のことが思い起こされた。
戸別受信機(防災ラジオ)