11月20日視察2日目は四国中央市のデマンドタクシーの取組みについての研修である。
四国中央市は愛媛県の最東部、香川県、徳島県、高知県と境を接し、面積は甲府市のおよそ2倍の420㎢で、人口は甲府市の約半分の約87,000人である。高齢化率はH27国勢調査で30.1%である。
平成16年4月に2市1町1村が合併し発足した歴史がある。「製紙、紙加工業において日本屈指の生産量を誇り、紙製品の工業製造品出荷額が全国一位。プラスチック製品などその他製品を含めると工業製造品出荷額は約6′, ‘000億円余りとなります」(市HPより)とあるとおり、市内に入って最初に目についたのが製紙工場の煙突である。議長さんの歓迎のごあいさつの中に、紙おむつの無償配布の取組みの紹介があり、さすがは紙のまち、と感嘆した。
市内にはJR予讃線6駅があり、うち2駅が特急停車駅である。路線バスは現在4路線うち1路線が広域路線である。タクシーは6社、保有台数は約100台。市福祉バスは新宮地域で7路線、1回300円の市町村運営有償運送となっている。
デマンドタクシーの運行経緯であるが、新市誕生の際の合併協議会で主要な課題としてコミュニティバス等の新しい交通手段の導入が検討され、合併後の平成18年に公共交通プロジェクトチームを設置、アンケート調査を経て平成19年10月に開催された地域公共交通会議でデマンドタクシー試験運行案が了承されたことにより、翌平成20年1月から試験運行が開始された。
その後平成22年4月から平成24年3月までの2年間、対象地域を拡大して実証運行を実施、24年4月から「地域公共交通確保維持改善事業」(国補助)に移行した。
デマンドタクシーは、現在登録者の予約方式をとっており、オペレーター室はタクシー会社の事務所の一角を借りて4人で運用している。運行台数は午前9台、午後7台で、利用料金1回400円でエリア内での運行となっている。
登録者は本年3月末で7,058人、利用者は1日あたり80人~90人、年間延べ20,323人(H30年度実績)、実利用人数は年間700人程度と分析されている。
何よりの利点は、自宅まで車が来てくれる点であり、予約者それぞれの自宅を回っての乗り合いとなりある程度の待ち時間が生ずるものの高齢者にすこぶる好評である。
運行経費は平成30年度実績で約52,000千円、うち利用料金収入と国庫補助金で12,500千円が財源として充当されている。
高齢者の交通手段確保のための支援策としてはタクシー券配布があげられるが、配布枚数の上限設定などの点から効果は限定的の懸念がよく指摘されるところである。これに対して交通システムを構築して低額の利用料金を設定する方式では、必要な時にいつでも外出できる点から持続可能なものとして大いに期待されるところである。
タクシー会社の協力を仰ぐこととなり、タクシー本来の営業との調整の課題も考えられるが、病院や買い物など頻繁に必ず生ずる定例的な外出ニーズへの対応にデマンドシステムを使い、そのほかエリア外への外出などへは通常のタクシー営業を使うなどの使い分けによって十分成り立つのではないかと考えられる。
いずれにしても今後益々加速する高齢化とこれに伴って増加が予測される免許返納という現代の大きな課題の解決策としてこうしたデマンドシステムも真摯に検討しなければならない時期に来ているのではないか。
※資料については「報告・資料」のページに収録してありますので参照してください。