5月7日に設置された甲府市議会の「新型コロナウィルス感染症対策特別委員会」に、新型コロナウィルスがもたらそうとしている社会への様々な「病理」について、その本質を見抜き、ともに乗り越えていくための「決意」を内容とする次の「宣言文(案)」を提案しようと考えている。
平成から令和へと新らしい時代の幕開けと時を同じくして、わがふるさと甲府市は昨年開府500年を市民あげて荘厳し、次の500年に向けて誇り高く晴れのスタートを切った。
明けて令和2年の本年、夏にはおそらく全ての国民が待ちに待ったであろう東京オリンピック、パラリンピックが、世界中からのアスリートやビジターをお迎えして新時代の開幕を寿ぐべく予定をされていた。本市もフランス共和国のホストタウンの認定を受け、卓球・レスリングチームの事前合宿地として万全のお迎えの準備を進めてきた。
しかしながら、未知の新型コロナウィルスが瞬く間に我が国をはじめ諸国を席巻し、その感染スピードと感染力にWHO(世界保健機構)もパンデミックを宣言するなど、新型コロナウィルス感染症の爆発的拡大が引き金となって東京オリンピック・パラリンピックも延期と、まさに我が国にとってもまた世界にとってもかって経験したことのない事態に追い込まれた。
日々の感染拡大とともに、国においては、学校の休校の要請、不要不急の外出の自粛、事業活動の自粛など、ウィルスの移動を媒介する人の移動を極力抑制するよう要請するとともに、徹底したいわゆる「3密回避」を国民に呼びかけ、緊急事態宣言で感染防止に向けた一層の協力を要請してきた。
しかしながら、感染がほぼ全国におよび、また急激に重症化して生命に危機的状況が及ぶ事例が伝えられると、有効な治療方法が未だ確立されていないことと相俟って、国民の間に一気に不安が増幅され、未知のウィルスに対する恐怖感が日に日に高まってきた。
先が見えないウィルスとの戦いに疲労感は蓄積され、また長期にわたる学校の休校、外出自粛、営業活動の停止などにより我々の社会経済生活は回復困難な状態になるほど疲弊し、限界に近付きつつある。
これまで、何とかオーバーシュートを防ぎつつ現状の限りある医療資源をフル稼働して感染症対策にあたってきたが、地域によっては医療崩壊が現実的な問題として危惧されている。
一方で、国民への一律の特別定額給付金や事業者への臨時給付、緊急貸付制度の拡充など国民生活を何とか支えていく支援策が国、自治体の連携により矢継ぎ早に実行されている。
こうした状況の中で、我々の胸を痛める残念な報道が相次いでいる。それはウィルスの爆発的拡大が現代社会に突き付けた「試練」とも言うべきものでもある。
最初は、感染リスクと闘いながら家族との生活も犠牲にして日々献身的に激闘してくださっている医療従事者やその家族に対するいわれなき偏見や差別の事例の報告だった。ある医療従事者の子どもが保育園での受け入れを拒否されたという。心無い言葉を浴びせられた例もあると伺っている。
また、我々の社会生活に欠かすことのできない仕事に従事していただいているエッセンシャルワーカーの皆さんにも同様の偏見や酷い誹謗中傷があったとも聞く。さらに、不幸にも感染した者に対するネット上での誹謗中傷。
こうした事例に接し、このウィルスが現代社会にもたらそうとしていることを正しく見抜いていくべきことを声を大にして我々は訴えていかなければならない。そして利便性を求めるあまり我々が置き去りにしようとしてきたものを今一度思い起こしていかねばならない。
ウィルスは何をもたらそうとしているのか。すでに多くの方が気付いているに違いない。それは、社会の「分断」であり「混乱」である。
戦うべき相手はウィルスである。がしかし、いつの間にかその相手を見失い、人間同士が疑心暗鬼にかられ相互に争ってしまっている。実に悲しむべきことである。
我々は今こそ輝かしい500年の歴史をもつ甲斐の国の誇り高い一員として、この新型ウィルスがもたらそうとしている分断と混乱を断固として打ち破るために、ともに高らかに宣言していこう。
1 未知のウィルスによる感染の恐怖と闘いながら、最前線で献身的に激闘していただいている医療従事者やエッセンシャルワーカー及びご家族の皆さんに心から敬意と感謝を申し上げよう
2 ウィルスをきっかけとするいわれなき偏見や差別はそれこそウィルスの思うつぼであり、いまこそお互いに支え合い励まし合い絆を深めていこう
3 ウィルス終息後のふるさと甲府を一層希望溢れる甲府とするため、ともに今を乗り越えていこう
ウィルスとの戦いはまだまだ先が見通せず予断を許さない。しかしながら開府500年の誇り高き我々甲府市民は、何があっても断じて負けない決意をもってその先頭に立つことをここに決意する。
最後のコロナとの「戦い」という表現は戦争を連想させるから削除すべし、という意見が委員の中から出たようだ。もちろん共産党。これには大笑いしてしまった。色々なところで戦いというフレーズは使われている。自分との戦い、絶対に負けられない戦い、など。これらが全て戦争直結と考える思考回路を疑いたい。