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議長退任ののち

2021年6月23日 甲府市議会6月定例会の最終日に議長職を辞した。

昨年7月3日に第101代の議長に就任しておよそ1年。最大の公約に掲げた議会基本条例の制定がこの日全会一致で実現し、一つの区切りがついたことで、次のミッションに果敢に挑戦するため職を退いたものである。

同日新たな議会構成が決まり、議会運営委員長に就任した。基本条例の具体的なオペレーションを議会運営委員会が担っていくことになり、これまで中心となって進めてきた議会改革を責任を持って具体的な形にするため、自ら買って出た。

今回制定された議会基本条例の根本的な理念は「機関競争にたえうる組織体としての議会の確立」である。そのための最も重視すべき制度として、(1)議員間討議制度、(2)総合計画を踏まえた政策サイクルの確立、を規定している。

「機関として」議会が作動していくためには、この2点が実は最も重要である。なぜ「機関性」なのか、以下その理由を記しておく。

(1)最大の理由は、地方制度が2元代表制であり、首長という執行機関と議会という議事機関とが「機関競争(善政競争)」を行うことが予定されていることである。例えば、「議案」は首長が議員個人に提案するものではなく、議会という議事機関に提案されるものであり、その答えとしての「議決」も個々の議員の答えではなく議会の意思を表したものであることから機関性は当然の主張である。

(2)これまでの委員会での議案審査や予算・決算委員会での「審査」の状況をみると、個々の委員の個人審査であり、到底「機関」による審査とは程遠いものがある。審査の流れは、当局による議案説明の後、質疑に入るが、委員が当局に対して個別に質問を繰り返し、最後は「要望」して終了する。そしてまた別の委員によって同じことが繰り返される。「質問」も議案の「目的」「手段」「効果」などの議案の適否を判断するための質問は残念ながらほとんどなく、「自由研究」の域を出ないような発言が大部分である。

しかも、一人の委員が発言している間は他のすべての議員は口をはさむことはできず、黙って長時間聞いていなければならない。そのうえ当該委員の発言に対して直接異を唱えることはできない制度となっており、委員会という同じ空間にあえている必要はないような状況を余儀なくされている。

委員の発言が一通り終われば「質疑終結」が委員長により宣言されすぐ「採決」に入る。そこには委員同士で議案の適否を審議することはせず、「付帯意見」を付ける余地は全くない。単に賛成か反対かの2者択一であり、賛成だが執行上留意すべき条件を付けたり、あるいはそのままでは反対だがこれを修正すれば賛成できる、といった「第3の道」を委員会が模索する制度にはなっていない。だから「追認機関」と揶揄される。

これを解決する制度が「議員間討議」制度である。当たり前といえば当たり前の制度だが、これまで地方自治法では明確に位置づけされていない。そもそも自治法自体が分権時代に正しく即応しているとはいいがたく、いまだ古い時代の中央集権的な色彩を引きずっている。

もう一つは、総合計画を根底においた政策サイクルであるが、その中心はやはり決算審査→予算反映のサイクルである。「政策提言」はこのニッチ(隙間)を埋める役割であるが、当初想定しなかった新たな需要が生じたときなどに真価を発揮する。その場合でも執行→課題抽出→フィードバックというサイクルに組み入れられる。

どの自治体も「総合計画」を策定してその目標実現のためにバックキャスト的に現在どんな政策を実行していくかを考え、毎年計画的に執行していくスタイルをとっている。その政策実行のために毎年「事業」を決定し、市民から徴収した税をその財源に充て、これを「予算」という形にまとめて議会にかけて、議決を受けて執行していく。

議会は、総合計画策定時に「議決」によって関与し、総合計画実行のための毎年予算にも議決を与えることによって関与し、予算執行後は「決算」審査によって、その執行の妥当性を検証していく。

決算審査によって浮かび上がった課題は次の予算編成に反映させ、この点で総合計画に基づいた事業執行かを検証しながら関与していく。この繰り返しが政策サイクルである。

こう捉えると、決算審査が最も重要だということが明らかになる。これまでの個人による研究発表的なやり方では、総合計画とのかかわりも意識せず、しかも成果測定もしないまま「なんとなく」終わってしまい、例えば市民から議決した理由を問われたときに答えに窮することになりかねない。

そのために今後事業執行の「成果性」を問うような決算審査方法に改めるよう議運で議論していく。具体的には、予算審査、決算審査で提出される議案資料が現在の法律では「款項目」という事業集計表であり、成果を判断するためにはどうしてもその下のカテゴリーの個々の「事務事業」までメスを入れる必要があるため、事務事業シートの導入を考える。

この議員間討議による「質疑」と「意見」の峻別、総合計画に照らした決算、予算審査での「成果測定」とフィードバックを委員会審査に導入し、議員同士がお互いの立場から意見を戦わせ(多様性の尊重)最後は譲歩し合って物事を決めていく(機関意思決定)。これが甲府市議会基本条例の肝であり、これまでずっと考えてきた「市民の役に立つ議会」への明確なスタートラインととらえている。あとは「議論の中身と質」である。

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