新型コロナの影響で昨年来行政調査については中止していたが、ワクチン接種が進み、新規感染者もこのところ本県ではゼロが続いている状況等もあって、感染防止策を十分に講じながら徐々に行政調査を再開していくことを先般議会で決定したところである。
これを受けて、わが会派でも10日から12日の日程で行政調査を行った。今回快くお受けいただいた、兵庫県加古川市、明石市、神戸市、姫路市に改めて感謝を申し上げたい。
調査事項は、加古川市が「ご遺族サポートの取組み」「がん患者の医療用補整具購入費の助成事業」、明石市が「男性職員の育休100%の取組み」、神戸市が「コロナ禍での観光施策」、姫路市が「姫路城を中心とした観光施策」である。
初日の10日は加古川市の「ご遺族サポートの取組み」「がん患者の医療用補整具購入費の助成事業」である。
まず、ご遺族サポートの取り組みであるが、最近徐々に増えつつある「おくやみコーナー」の取組みである。ご家族がなくなって悲しみの淵にあるご遺族の負担を少しでも軽減できるよう、亡くなることによって必要が生じる行政手続きをワンストップ窓口で対応しようとするものである。
いうまでもなくご逝去に伴って、住民票、健康保険、介護保険、福祉サービス、その他相当数の必要手続きが発生するが、それぞれの窓口ごとに個別に行かなければならないとなると、ご遺族の肉体的、精神的負担は計り知れない。特に最愛のご家族を亡くされた直後は未だ気持ちの整理もつかず、窓口ごとに一から説明しなおすとなるとそのたびに悲しみがこみ上げて打ちのめされる、というお声をよくいただく。
こうしたご遺族の負担を少しでも和らげるために、必要な手続きを一つの窓口で1回で済ませることのできる「おくやみコーナー」は次第に増えてきており、わが会派でもこれまで長澤議員が本会議で取り上げ、設置を強く求めている。
加古川市では、3日前予約システムをとり、当日までに必要な手続きをリストアップし、窓口職員が直接対応するか、事例によっては担当課職員が窓口で対応するなど、「たらい回し」のないよう寄り添った対応を行っている。この点は今後わが市でも実施する場合に気を付けていかなければならない点である。
予約の場合は当日1時間ほどですべての手続きが完結するようであり、今年3月の開設以来、1日あたり平均6件のペースで予約実施しているという。もちろん、何らかの事情で予約なしでいきなり来訪するケースもあり、この場合でも来訪者の気持ちに沿えるよう最大限の対応に心掛けている。開設からまだ日が浅いが市民からは好評価をいただいているようである。
調査事項の2点目は「がん患者の医療用補整具購入費助成事業」についてである。これについても、わが会派の長澤議員がこれまで本会議で取り上げ、制度創設を求めた経緯がある。
加古川市が本事業を導入するに至った背景には、平成30年に策定された国の第3期がん対策推進基本計画に「がんとの共生」とあり、また同時期に策定された兵庫県の計画にも「がん患者を支える社会の構築:と規定されていることを受け、がん患者への支援の方策を探ってきたことがある。
熊本市の「都市のがん患者へのジ助成・支援事業調べ」をきっかけに、市独自で同規模の自治体への調査、及び市内のがん診療連携拠点病院への医療用補装具や患者のニーズ調査を行った。その結果、
◯医療用ウィッグは女性のがん患者の多くが着用し、特に乳がん患者はほとんどが全脱毛するため極めてニーズが高い
◯30~50代の患者では、補装具の需要は高いが、治療費を優先するため、経済的な負担により外見のケアまで手が回らない
◯手術が正常しても外見の変化にショックを受け、希死念慮を抱く患者もいる
こうした切実な声を把握し、国や県の計画に沿うものとして医療用補整具の購入費助成事業の必要性を強く庁内で訴え、その結果、令和3年度新規事業として採択され、令和3年度から事業が実施されることとなった。
制度の内容は、医療用ウィッグの購入費助成が上限5万円、乳房補整具が、補整下着1万円まで、人口乳房5万円まで、(ただしいずれか1つ)で、直近までに71人の方が助成を受けている。
事業の効果として、患者さんから、1ランク上の性能の良いものを思い切って購入できた、助成制度があるということで頼るものがあるという温かい気持ちになり、治療へのモチベーションが維持できた、といった好意的な声が多数寄せられている。
ご遺族サポートもこの医療用補整具購入助成制度もいずれも、第一に相手の立場で考えた結果の心の通う制度となっている。制度に込められたメッセージが相手に伝わるときに、とかく使い勝手の悪いと負のレッテルを張られることの多い行政施策が、市民から歓迎される。このことを我々も肝に銘じていく必要がある。